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出版社内容情報
「ねじ式」発表当時にはじめて漫画が芸術としての評価を一挙に高めた〝事件〟以降、作者への讃仰、敬慕、親愛を込めたさまざまなエッセイ、書評、作品評が、漫画界のみならず、文学、美術、映画、演劇、ドラマなどさまざまな分野を超えて、発表されてきました。半世紀におよぶそれらの文章を独自にセレクトし、つげワールドの多面的な魅力に迫る、万華鏡のような随筆集成。
内容説明
白土三平・水木しげるから吉本隆明・島尾敏雄・川上弘美まで各界の表現者による時代の熱を帯びた作品論から虚実に包まれた素顔を伝えるポルトレまで孤高の漫画家へ寄せるエッセイ・論考を集成!
目次
1 エッセイ編(白土三平;水木しげる;鈴木志郎康 ほか)
2 対談・人物ルポ その他(対談 川上弘美・長嶋有―つげ義春を読み直す;人物ルポ 佐野眞一―不安と休筆と貧困と;漫画 秋野すすき―つげ家の人々)
3 評論(川崎彰彦―すべてこれ貧窮問答歌;由良君美―羊水のあたたかさ;天沢退二郎―「夢の散歩」解説 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
R
36
つげ作品に関する様々な分野の人たちの言葉が読める本。正直、つげ作品をちゃんと読んでないのに評論から入ってわかるはずもないのだけども、多様な著名人が本当に好きなんだというのが伝わってくる文章がいっぱいで、なんだか楽しい。水木先生とのエピソードがいずれも珠玉だと感じたのだが、漫画が芸術や文学といった論考対象になりうることを示した作品群であることが伝わってきて、改めて凄いと思わされる。創作はある種の哲学なんだなと思うところ。2023/06/08
gtn
25
つげ氏本人は健在だが、まるで追悼集。各界の人物が氏を追慕する。「ねじ式」「ゲンセンカン主人」「李さん一家」といった一連の作品群が生まれてから半世紀以上経つのに、この磁力は何だろう。漫画家仲間、永島慎二のエッセイにヒントがあった。つげ氏は自分のことを「天才」と思っていたきらいがあると。厭世的で捉えどころのない氏の生き方に騙されるところだった。2023/04/23
阿部義彦
19
つげ義春作品に対するエッセイ、対談ルポ、評論を時代順に収録。執筆者の半分位の方は亡くなってます。(白土三平、水木しげる、赤瀬川原平、吉本隆明等)帯に祝生誕85年(休筆35年)と有ります。佐野眞一さんのルポによると何故「無能の人」の映画化を承諾したかと言うと、その頃息子さんが高校受験で私立に行くならまとまった金がいるが、丁度原作料がその位の額だったからだそうです。フランスで賞まで頂いて本人がそのまま登場人物の様ですね。何が凄いかと言うと『ねじ式』みたいなのは一作限りで、安易な自己模倣をしなかった事だと思う。2023/01/30
田中峰和
5
つげ義春の作品を「ガロ」で読んだ人は昭和世代まで。そんな絶滅危惧種的な体験は自慢にもならないが、当時中学生だった私は、「巨人の星」より面白いと感じた。単行本化されるたびに、何度も読んでいたので、本書で紹介される作品は全て目に焼き付いているものばかり。小学校卒業後、メッキ工場で働いたつげ少年。弟のつげ忠男も兄をならって漫画家になるのだが、血液銀行に勤めた経験もある。五木寛之らが売血で凌いでいた、本当に貧しい時代だったのだ。佐野史郎も「ガロ」でつげ作品を読んでいたとエッセイで書いている。昭和は遠くなりにけり。2024/02/09
Asakura Arata
5
現実生活に行き詰まった時につげの作品を読むと楽になる理由がわかったような気がした。2023/05/20