出版社内容情報
金正恩総書記政権のミサイル外交で再び世界中から注視されている北朝鮮。本書は、かの国に存在する北朝鮮人作家の知られざる実態を明らかにする。「北朝鮮文学」は表現の自由とは対極にあり、党所属の立場で国民の思想教育、政治宣伝の役割を果たす「文学」を発表している。日本に生まれながら帰国事業で北に戻り、作家として活動した著者が赤裸々に綴る北朝鮮文学の裏側とは――。
金 柱聖[キムジュソン]
著・文・その他
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tellme0112
12
題名に引き寄せられて手に取る。知らないことがたくさんあった。親しみを感じた。命を懸けて書かれた本だと思った。あと、何度も日本に置き換えて読んでいた。トップに会うと奇跡が起こるあたり、不可能な大学設置認可が下りるとか、公文書改竄されるとか。「脱北者とは家族を捨てるために逃げたのではなく、守るために逃げた、平凡な幸せを願う普通の人間なのだ」が心に残った。2019/10/18
アリーマ
8
在日朝鮮人として育ち、北朝鮮帰国事業で帰国し、後に脱北した著者の体験記。北朝鮮で作家活動をしていた、という背景はなかなか目新しい。脱北成功までのプロセスが一番面白そうなところなのだが、どうも続巻出版を狙っているらしくて、そこは「またの機会に」というのがちょっとあざとい。★★★2018/09/27
marumo
8
これまで北朝鮮って、外から見たらなんで暴動が起きないのか理解できなかった。でも、国をあげての洗脳教育によって、そもそもあの体制をおかしいとすら思っていない人たちがいる、「洗脳」という概念すら持ち合わせない人たちがいるという事実に、強い衝撃を受けた。選択肢を持たない恐怖ってどんなものなのか、この本の中にはそれが書かれていたと思う。2018/06/17
K.C.
7
脱北した在日朝鮮人が日本語で書いた生々しい北朝鮮のルポ。理不尽としかいえない北朝鮮社会を生き抜き、脱北によりそれを知らしめることになった。これが現実なのだろう。米朝首脳会談なんて関係ない世界。2019/04/14
まると
6
伝え聞くところの北朝鮮の思想統制、さらには総連と北との関係を知る上で参考になった。金正恩がいくら「平和」を叫んでも、あの国は金一族を唯一の主権とした、国民の大多数を虐げている全体主義国家であることを忘れてはならない。2018/04/30