出版社内容情報
大手デベロッパーのエリート社員だった浜地は、とある事情から閑職に追いやられて自己都合退職し、どうにか中堅ゼネコンの契約社員となる。だが、そこで任されたのは、ショッピングモール建設工事現場の安全衛生管理責任者。……俺、未経験なのに!? 浜地の教育担当となった松本は、度を超えた厳しさで安全指導をする男。……バカ真面目すぎる。だが、浜地はやがて知ることになる。松本の行動に隠された本当の目的を――。ユーモア+苦み+スリルを混合してミキシング! 唯一無二の読後感が待ち受ける工事現場ノベル、堂々完工!
【目次】
内容説明
大手デベロッパーのエリート社員だった浜地は、とある事情から閑職に追いやられて自己都合退職し、どうにか中堅ゼネコンの契約社員となる。そこで任されたのは、なぜかショッピングモール建設工事現場の安全衛生管理責任者。…俺、未経験なのに!?浜地の教育担当となった松本は、度を超えた厳しさで安全指導をする男。…バカ真面目すぎる。だが、浜地はやがて知ることになる。松本の行動に隠された本当の目的を―。
著者等紹介
石田夏穂[イシダカホ]
1991年埼玉県生まれ。2021年「我が友、スミス」が第45回すばる文学賞佳作となりデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
68
【目ぼしい企業に履歴書を送りつづけたが、ことごとくがなしのつぶてだった。】重大事故の“引責”で屈辱的な辞令を受けた大手デベロッパーの積算部長・浜地は、憤然と職を辞し“新天地”を求めるも、そこで大苦戦。「転職エージェント」に頼って、中堅ゼネコンの契約社員となり、建設工事現場の安全衛生責任者に――。ディテールに注目。ヨイか、ヨシ!<浜地も実際に失敗を重ねてみてわかったが、新卒からずっと同じ会社にいたオッサン、それもそこそこ偉くなっちゃったオッサンの身柄などはどこも引き取ってくれないのだ>と。これが現実で……⇒2025/12/14
シナモン
56
まさか自分が工事現場で働くなんて。大手企業を辞めたことを家族に言えず途中のトイレで着替えて職場に向かう主人公浜地。安全管理の仕事をすることになるが教育担当の松本は度を超えた安全ルールの徹底を強いる男だったー。工事現場を舞台にしたお仕事小説。緻密な描写、まるで工事現場にいるよう。松本の安全に対する徹底ぶりはユーモアを誘うがその裏にあった事情にやり切れなさを感じる。石田夏穂さん、やっぱり面白い。 2025/12/16
Hiro
38
いろいろな業者が関わる工事現場では、工期や予算、品質、安全など、それぞれが大切にするポイントが違うもの。読み進めながら、やっぱり安全が第一だよなーとあらためて感じた。「泥引き」という言葉を知れたのも興味深かった。大規模工事とは違うけれど、住宅建築の現場を見るたび、現場がきれいだと作業する人の環境もきっと守られているんだろうなと思う。2025/12/07
ぽてち
33
旧財閥系の大手デベロッパーで積算部長をしていた浜地が、ある出来事をきっかけに会社を辞めた。50歳を目前にした彼がようやく入社したのは台島建設。積算業務のはずがいきなり現場に飛ばされ、経験したことのない安全衛生管理責任者をすることになる。家族には転職したことを言えず、現場では年下の教育担当者に違和感を覚え……。工事現場のあれこれは想像することしかできないが、映画やドラマで観たような光景が広がる。お手軽だけど、お仕事小説としても、サラリーマン小説としても、家族小説としても読める。おもしろかった。2025/11/30
Natsuko
28
億単位の金額を扱う元エリートサラリーマンの濱地が仕方なしに通う工事現場。安全管理側と職人の日々の戦いのリアルさに結構ハマる。この辺りの、マニアックなんだけど飽きさせない絶妙さがさすが。さらに、工事現場で働いていることを家族に言えない、プライドの高い濱地が、息子の学歴について思いを巡らす描写もいい。濱地はこの職場にいつまでいるのか、いつ家族にどうやって打ち明けるのか、息子はそれをどう捉え、自身の進路をどう決断するのか…読者に委ねられる結末が後味よく新鮮。(基本委ねられる結末は苦手だが)2025/12/11




