出版社内容情報
戦国筑後の盟主・柳川の蒲池家。嫡男の鎮漣はその気弱な性質から姫若と揶揄されて育った。永禄元年(一五五八)毛利元就の豊前侵攻により北部九州は乱れ、大友家からの離反者が続出。だが、佐嘉の龍造寺が毛利と画策した「大友包囲網」は大友に仕える鎮漣の活躍によって崩れた。結果、大友・龍造寺・島津の勢力争いはあたかも大陸の三国時代かのように拮抗し、裏切りも横行するなか、領主・鎮漣の戦いはひたすらに柳川の民を守るためにあり。殺戮増やすまじ。弱肉強食の時代に一筋の光を放つ名君の、知られざる感動の一生。
【目次】
内容説明
弱いし、強い。その名は蒲池鎮漣。筑後、柳川にあり。こんな男が実在した!熾烈な戦国九州の覇権争いのなかで、要衝を治めるがゆえに有力大名の間で翻弄され続ける領主がいた。日本史上、ほぼ無名な男の、温和で戦国武将らしからずとも己の道を貫いた波瀾の生涯!
著者等紹介
森山光太郎[モリヤマコウタロウ]
1991年熊本県生まれ。立命館大学法学部卒業。幼少期より大伯父から歴史の手ほどきを受ける。2018年『火神子 天孫に抗いし者』で第一〇回朝日時代小説大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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igaiga
14
実在の人物につき毎回のごとくwikiでチェックしました。小説ではかなり冷静な人物で、いつでも民の事を考えている。しかし、実際戦うと力を発揮する。こういう人が政治家になってほしいものの、やっぱり悪いヤツはいるもので・・・。2025/08/21
黒猫堂▽・w・▽
2
森山光太郎さん「戦ぎらいの無敗大名」読了。戦国時代西海道筑後柳川の城主蒲池家に生まれたものの柔弱な性質から姫若、うつけ者と配下の者や領民にまで馬鹿にされていた十郎鎮漣を主人公とし、大友宗麟、龍造寺隆信、島津義久といった群雄割拠する中、民を苦しめないために戦った武将の物語2025/09/10
大森とーちゃん
1
蒲地鎮漣と言う武将を知らなかったけど、この物語は凄かったし面白かった。自身の生い立ちに縛られ抜け出せない者、生まれ持ったものから想像できないくらい違った生き方が出来る者等、鮮やかに人生が現れる戦国時代の物語はやっぱり面白い。2025/09/05
茶幸才斎
1
臆病で軟弱と罵られる筑後柳川の蒲池十郎鎮漣。戦巧者で知られる肥前佐嘉の龍造寺隆信と、その懐刀の鍋島孫四郎直茂。若き日の出会いで育まれた互いへの複雑な心情。鎮漣は柳川の民を守るため危険な男ながら天下の泰平を目指す隆信との協力を願い、隆信は鎮漣を戦略の駒としながらその秘めた力を警戒し、孫四郎は隆信の覇業を支えつつ鎮漣の戦の才に驚愕する。九州の覇を掛けた大友、龍造寺、島津の三つ巴の動乱の中、三人の思念が鋭く交錯する。臆病ゆえに準備する。不安ゆえに考える。才無きゆえに人に訊く。それでいいんじゃないかな、と思った。2025/09/02
ハル
1
戦国時代の九州筑後・柳川の大名蒲池鎮蓮の物語。史上に名を残す大名は天下統一を目指すとではないのだね。中小の大名は如何に生き残るか、誰につくかで自分の、藩の生き死に考える。鎮蓮はそれ以上に領民の幸せを願って希求する稀有の大名。そういう生き方もあったのか。2025/08/31