出版社内容情報
赤穂浪士による仇討ち。世に名高い「忠臣蔵」は主君の無念を晴らす忠義の物語として江戸時代から語り継がれてきた。しかし、その一方で、武士であることに誇りを持ち、同じ志を持つ47人の侍たちの「友情物語」でもある。吉良上野介を斬った男でありながら「赤穂一の粗忽者」として愛された武林唯七を主人公に、涙無しには読めない「友情物語」としての忠臣蔵を新鋭が綴る。
内容説明
家族のために生きるのは「孝」、主君のために死ぬのが「忠」。男たちは、その狭間で懊悩する。赤穂浪士の武林唯七は主君の仇敵・吉良上野介を討ち取った男でありながら、「赤穂一の粗忽者(おっちょこちょい)」と呼ばれ愛されていた人物だった。そんな唯七を軸に、ときに主君のために涙し、ときに友と酒を酌み交わし、ときに家族への想いに仇討ちへの参加をためらう―人間くさい四十七士たちの物語。300年近く前から愛されつづける「忠臣蔵」に新しい解釈を加え、今を生きる私たちとも共通する普遍的な人間の営みを描いた傑作時代小説。
著者等紹介
滝沢志郎[タキザワシロウ]
1977年島根県生まれ。東洋大学文学部史学科を卒業後、テクニカルライターを経て2017年『明治乙女物語』で第24回松本清張賞を受賞し小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
204
「赤穂一の粗忽者」と呼ばれた愛すべき男・武林唯七を主人公に据えた赤穂浪士の「忠臣蔵」の物語。最初から最後まで笑いと涙に満ちた素晴らしい読み心地でしたね。時代小説を読み慣れていない私でも読み易く何度でも再読したくなる完成度の高さでしたよ。仲間達との友情、愛する人々との幸せな人生を捨て主君の仇を討ち命を捨てる覚悟を選ぶ心意気にラストは涙が込み上げてきて止まりませんでしたね。赤穂浪士たちの人間性も鮮やかに描き分けられていますし、後世に残すべき名著としてぜひ多くの方に読んで頂きたいですね。#NetGalleyJP2024/05/25
いつでも母さん
122
良かった~(拍手)色んな作家の『忠臣蔵』を読んだり観たりしてきたが、本作は良い意味で楽しく心地良い『忠臣蔵』だった。「粗忽者」と親しまれた浅野内匠頭の中小姓近習・武林唯七を芯に、そこから見える四十七士の物語。忠義とか、家とか、家族愛や友情。そして、やっぱり最後は泣けてしまう。―仕合せや死出の山路は花ざかりー2024/03/15
ゆのん
59
時代物や歴史物が大好きで本だけではなく映像でも好んで観るが、中でも『忠臣蔵』は何度読み、観ても大号泣してしまう。大石内蔵助メインに描かれる物が多い中、本作は中小姓近習・武林唯七メインで描かれている。『粗忽者』であった唯七に笑ったり泣いたりと忙しい読書であった。有名な話であり結末は分かっているのだが頁を捲る手が止まらない。僅か11歳から殿に仕えた心優しい粗忽者から見る殿・浅野内匠頭や筆頭家老・大石内蔵助、堀部安兵衛はじめとする仲間達の姿や、討ち入りに対する気持ちの変化、家族への想いなど感動の物語だった。2024/02/06
アイシャ
30
赤穂一の粗忽者の異名を取る武林唯七を主人公とする忠臣蔵。この20年前に、饗応役としてあたった朝鮮通信使からの問かけが印象に残る。「考より忠が重いのが武士ならば、武士は主君が愚かであっても従うのか」赤穂事件の真相はしかとは分からない。吉良が常に悪者として描かれることが多いがそれは本当なのか。幕府による采配があまりにも一方的で、喧嘩両成敗とはならなかったことが赤穂の侍たちに遺恨を残したのかもしれない。太平の世にあって、侍といえど斬り合いなど経験したこともない者たちが多い中、討ち入りに向かう様子は悲しい2025/01/07
Mc6ρ助
21
読み友さんの感想から。こんだけ明るい忠臣蔵、嬉しくなってくる。大石以外みんなバカという彼の考え方がこちらに分かりやすいのはきっと令和の考え方を投射してるんだろうね。彼らのドライビング・フォースは忠なのか義なのか、正々堂々、お上の裁きへの異議申し立てではあったのだろう。人治政治はたまらんけど、情報公開まで10年だなんて、時効がそこからとセットにならないものか、法がすべての人に同じように適用されない法治もなかなかにしんどいのでありました。2024/06/03