出版社内容情報
歴史の中で多くの出会いを見届けてきた神戸の街を舞台に、様々な形の出会いと別れを描く傑作短編集。ある時は運命的な男女の出会いを、ある時は破滅的でさえある恋を、またある時はパラレルワールドに存在する神戸での不思議な邂逅を描く。読後感も、時にジャンルさえも全く異なる独立した物語たちである一方、それらは確かな繋がりを持ち、それぞれに響き合って世界を美しく彩る。読み終わった後、必ず誰かと語り合い、分かち合いたくなるような魅力に溢れた1冊。
内容説明
惹かれ合う二人の逢瀬、刹那的な情事、異なる種族や神様との邂逅―神戸の街で生まれる様々な出逢いと同じ数だけある必然的な別れを描く。煌めく物語たちを閉じ込めた宝石箱。『レペゼン母』で衝撃デビューの気鋭の才能が放つ心震わす短編集!
著者等紹介
宇野碧[ウノアオイ]
1983年神戸市出身。2022年、ラップバトルを通じて母と息子の対話を描いた『レペゼン母』で第16回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼっちゃん
55
WAY書店員イチ推し作品ということで読んだ。様々な出会いと別れを描いた作品集7編。ファンタジーというか少し不思議な物語が多かったが、一番現実に近い就職に苦戦する男子学生が気功のインストラクターに恋をする『つめたいふともも』が良かったです。2024/05/12
konoha
53
神戸を舞台に幻想的な雰囲気の中にも人間の業のようなものが描かれる。若い時に誰もが通り過ぎる痛み。それが鮮烈でヒリヒリとした気持ちになるが、読後感は淡く切ない。繭のような部屋に住む男性に恋をする「エデンの102号室」は神戸の歴史を紐解くミステリアスな恋愛小説。「つめたいふともも」の美羽と祐介、「赤い恐竜と白いアトリエ」の左巴の生々しいエネルギーが圧巻。「プロフィール」はSFっぽく哲学的。一つ目の女性が労働者の大地と出会い、言葉を覚えていくやりとりが良い。こんなに気持ちを動かされた本は久しぶり。2024/04/20
もぐもぐ
52
宇野さんまた雰囲気をガラッと変えてきた。神戸を舞台にした短編集。出会いと別れ、失った人・去っていった人への郷愁を感じる話が多かった。「エデンの102号室」はとっても切なかったし、「つめたいふともも」の心象描写も好き。これだけ毎本作風変えてくると、次はどんな感じで来るのか楽しみになります😊2024/07/10
星群
50
宇野さん、3作目。新境地開拓に挑戦したのかな。厳しめに言わせてもらうと、ぼんやりとした不思議が掴めなく、最後1割は走り読みしてしまった。色々詰め込み過ぎた感があるかな。2024/05/07
まる
43
宇野碧さん3冊目。「レペゼン母」がキレッキレに良かったので、「キッチン・セラピー」に続き本作も。今回も更またとれまでとまったく雰囲気が異なる作品。 神戸を舞台に出会いや別れをファンタジーでくるんだ静謐感がある中短編集。どこか刹那的な匂いが神戸の坂道をふわふわと昇っていく感じ。 きっと宇野さんはこういう作品を描きたいのだろうなと思う。私にはハードルが高い作品だったけれど、「つめたいふともも」は比較的わかりやすく若い主人公の揺らめく心情が目に浮かぶよう。 2024/06/09