出版社内容情報
「黄泉の森には絶対に入ってはならない」
人なのか、ヒグマなのか、禁域の森には未知なる生物がいる。
究極の遺伝子を持ち、生命を喰い尽くすその名は――ヨモツイクサ。
北海道旭川に《黄泉の森》と呼ばれ、アイヌの人々が怖れてきた禁域があった。
その禁域を大手ホテル会社が開発しようとするのだが、作業員が行方不明になってしまう。
現場には《何か》に蹂躙された痕跡だけが残されてた。
そして、作業員は死ぬ前に神秘的な蒼い光を見たという。
地元の道央大病院に勤める外科医・佐原茜の実家は黄泉の森のそばにあり、
7年前に家族が忽然と消える神隠し事件に遭っていて、今も家族を捜していた。
この2つの事件は繋がっているのか。もしかして、ヨモツイクサの仕業なのか……。
本屋大賞ノミネート『ムゲンのi』『硝子の塔の殺人』を超える衝撃
医療ミステリーのトップランナーが初めて挑むバイオ・ホラー!
内容説明
その森には何かがいる。戦慄のバイオ・ホラー。
著者等紹介
知念実希人[チネンミキト]
1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第四回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。12年、同作を改題した『誰がための刃』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
464
知念 実希人は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者初のバイオ・ホラー、思ったほどは怖くありませんでした。しかし生きながら内臓を食い千切られるのは厭だなぁ。 https://www.futabasha.co.jp/book/97845752463150000000 2023/06/25
bunmei
399
これが知念作品かと思う程、衝撃的な戦慄のモンスターホラー。スプラッター的なグロさは半端なく、生きながら食い殺される殺戮シーンは、文章から目を背けたくなるほど。黄泉の森に伝わる忌まわしい生贄と怪物伝説を基に、実在する巨大人喰いヒグマの恐怖、そこに7年前に起きた一家失踪事件や森の開発作業員の惨殺事件を絡め、伝説であった怪物の正体が次第に衝撃的な姿となって明らかになる。その中でも専門的な医療や生態学を駆使し、怪物にリアリティーさを投影しているのが知念作品。ラストの驚愕の真実に、本作の本当の恐怖が隠されている。 2023/06/04
とろとろ
241
話の初めは人食い熊の話でOSO18の記事が引き金になったのかと思っていたが、それが発光するクモの話になって、なんだか荻原浩の「楽園の下」みたいに巨大になるのかと思ったら、次は映画のエイリアンみたいに人間の腹に卵を産み付けて寄生するんだと。人食いグマの餌場の描写もグロかったが、人間に寄生するともっとグロい描写になるということが判った。本当にバイオ・ホラーな話だった。でも、なんだか先が読みたい、ちょっとのグロなら我慢して読んでしまいたい。結末が知りたい、となって、結局一気読み。あ〜っ、怖かった。で、続き?。2023/12/22
まちゃ
233
ホラーとしても、ミステリとしても読み応えのある作品でした。まんまと騙され、最後にゾッとしました。アイヌの人々が怖れた禁域《黄泉の森》。そこで繰り広げられる未知の生物との死闘。「遺伝子の水平伝搬」など、著者らしいアイデアだなと思いました。一日で読了。2023/07/09
モルク
222
アイヌ伝承の禁域黄泉の森でリゾート開発工事をする作業員たちが羆に食害されるという事件が発生。外科医茜が7年前突然失踪した家族を求め、妻を目の前で羆に食べられた猟師鍛冶とともに因縁の羆あさひを追う。そして羆をも襲い内臓を貪り啜るとんでもないものが…。ヨモツイクサ、イメルヨミグモ、アミタンネ次々と出てくる禍々しきものとのバトルが繰り広げられる。まさに死闘であり描写はグロい。そしてその上をいく凄まじい展開、なんて恐ろしい結末。この恐怖はまだ消えてはいない。異色の知念作品。2023/10/10