出版社内容情報
ノンフィクション作家の草下彰は、自身をテーマに作品を書く決意をした。草下の両親は彼が小学生のときに殺害され、犯人はいまだ不明だった。唯一の手がかりは犯行前に草下を訪ねてきた謎の男だったのだ。草下は男の足取りを辿るのだったが……。深く切ない母親の愛情を描く長篇ミステリー。
内容説明
ノンフィクション作家の草下彰は、自分の過去を題材に作品を書こうと決意した。草下が中学生のときに両親は殺害され、その容疑者すら特定されていない。唯一の手がかりは、両親の殺害前に彼の家を訪ねてきたひとりの男だった。男の足取りを辿るうちに、草下は予想もつかなかった真実を知ることになる…。深く苦悩する母と、母子草に込めた思いとは!?圧巻のヒューマンミステリー!
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年東京都生まれ。データベース会社に勤務のかたわら執筆した「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞、『土俵を走る殺意』で第11回吉川英治文学新人賞、『絆』で第41回日本推理作家協会賞長編賞を受賞。法廷ミステリー、時代物など、幅広いジャンルで活躍中。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
155
【辛口御免】タイトルや装画のイメージもあって正直、再放送の2時間ミステリードラマを観たような・・そんな感じ。小杉作家だから読ませるのだけれど、こんなにノンフィクション作家・草下が一人であちこち色々と探れるものだろうか?いくら草下本人にも関わるとは言え、皆さん好意的にお話してくれるのも出来過ぎな感じ。警察関係者だってさ・・(汗)ただ、無戸籍問題は何とかして欲しい現実だ。自らの出生の真実が判明してから、ちょっと急いでラストを纏めた感じもした。そのあたりも映像化に向いてる気がした。2022/04/23
ゆみねこ
86
ノンフィクション作家の草下彰は中学3年生の時両親を殺害され、未だに犯人は見つかっていない。自分の過去を題材に作品に取り組もうと決意したが、唯一の手がかりは両親の殺害前に家を訪ねて来た一人の男。男の足取りを辿り明らかにされた真実と母の思いの強さと苦しみ。読みやすい作品だった。2022/04/11
さっこ
78
15年前に両親を殺害された草下彰。ノンフィクション作家として細々と暮らしていた矢先、近所で殺人事件が起こる。被害者は15年前に会ったことがある男性だった。無戸籍問題や母親の愛情などを描いていて、重いテーマだと思うのだけれど思いのほか軽かった。2022/04/23
えみ
64
過去に何かある人物の翳を纏って生きる現在と、未来に希望を描く作家の代表的存在だと勝手に思ってる。小杉健治。今回も見事な心温まるクライマックス!良い意味で裏切らない安定安心、そして欲しいところに欲しい描写がガッチリ嵌っていた。共に過ごした思い出、離れていても幸せを願い続ける想い、家族という愛のカタチ。両親を殺された過去があるノンフィクション作家が第一発見者となった殺人事件。ほんの僅かな運命の接触が曖昧に隠されていた両親殺害の真相を呼び起こす。事件の背景に見た個々の憐憫そして哀惜が胸を打ち、疑惑が奇跡を生む。2022/04/03
milk tea
37
血のつながりなどではなく、思いで繋がっているだなと。 小杉さんの描く親子の話は、いつも切ないです。 母子草、読み終えたとき、この小説のタイトルにほろりとさせられます。2022/04/05