出版社内容情報
ヤメ検弁護士の一坊寺陽子のもとに、同期で同じ福岡で開業している桐生晴仁から依頼が届く。それは桐生が起こされた懲戒請求の代理人だった。「桐生晴仁が佐藤昇を殺した」。懲戒請求の理由に書かれていた人物は桐生の従兄弟で16年前、両親を殺害した罪で収監されている人物だった。陽子は依頼を引き受けるが・・・・・・。
内容説明
検察官をやめ郷里の福岡で法律事務所を開業している一坊寺陽子。そんな彼女のもとに同期の弁護士である桐生晴仁から2つの依頼が届く。ひとつは「桐生晴仁が佐灯昇を殺した」と書かれた懲戒請求書の差出人を捜してほしいというもの。佐灯昇とは桐生が弁護をし、陽子が公判担当検事をつとめた16年前の「両親殺し」の犯人。もうひとつは、虐待を受けていた少女が実の父親を殺した事件の弁護。「2つの親殺し」を調べていくうちに、それぞれの裏に隠された衝撃の事実が浮かび上がっていく…。
著者等紹介
田村和大[タムラカズヒロ]
1975年生まれ。福岡県福岡市出身。一橋大学法学部卒業後、NHKの報道記者を経て2003年弁護士登録。17年に第16回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、18年、受賞作を改題した『筋読み』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
155
2つの「親殺し」の帯に釣られて・・お初の作家さん。現役の弁護士さんならではの、懲戒請求書の件を同期の弁護士から依頼されるところから始まる物語。ん~ん、面白くはあるんだけれど、だけど・・な感じだった。結末にはそれはどうなの?だったけど『志士仁人』この兄弟の強さが凄い。それよりも陽子の男運が気になってしまう(汗)読編があったらもう少し追いかけてみたいかも。2022/06/24
タイ子
89
さすが現役の弁護士さん。小説としてはあまり取り上げられない弁護士の懲戒請求問題を絡めた作品。司法も掘り下げると面白い。主役はヤメ検の女性弁護士・一坊寺陽子。彼女の元に司法研修所の同期だった桐生が2つの依頼を持ってくる。一件は未成年の女の子の父親殺害事件の弁護。一件は、桐生本人の弁護士懲戒請求の代理人になって欲しいとのこと。誰が何のために懲戒請求をしたのか。過去に扱った殺人事件に繋がる糸を手繰る陽子。それは家族の絆と欲望、罪と贖罪が司法の手足を絡み取る。そして、ラストに見せる鮮やかな謎解きに唖然。面白い!2022/06/11
mike
53
ヤメ検弁護士一坊寺陽子の元に同期の桐生晴仁が訪れ、懲戒請求事件の代理人を依頼する。請求理由は、以前彼が弁護した従弟を殺したというもの。16年前に本人自白で一回結審したこの事件に何があったのか?懲戒請求、代襲相続等聞きなれない用語と、遅々として進まぬまどろっこしい話になかなか読み進める事ができなかった。しかし、後半になると真相が明るみとなり、二転三転と話が急転する面白さに釘付けに。プロローグに何かしら感じていた違和感の謎も解けてスッキリ。「このミステリーがすごい大賞」優秀賞は頷ける。2022/07/04
ゆのん
51
弁護士・一坊寺陽子の依頼人は同期の弁護士・桐生。依頼内容は殺人被疑事件の弁護人と、自身の懲戒請求事件の代理人。調べていくうちに16年前の殺人事件との関係を追い始める。現役弁護士が描いているだけあって、法律の説明がとてもわかりやすい。ストーリーは捻り過ぎてる感があり、少々複雑。描きたい事が沢山あり過ぎて詰め込み過ぎている感じがする。個人的には主人公をはじめとする各キャラの感じが好きだし、物語も複雑ではあるが秘密が暴かれていく過程が面白かった。ぜひシリーズにして欲しい。2024/08/24
きりん★
43
腕もよく、人望もある弁護士陽子。その元にくる同期の桐生の依頼、懲戒請求事件。十数年前の事件の犯人が、弁護士桐生だというものだった。登場人物が多く、誰が誰か何度か振り返って読んだけれど、中々深い物語で緻密で、最後まで飽きる事なく終了✨✨陽子、あなたもいい相手を見つけてください🥲2022/07/07