出版社内容情報
民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。相対する警視庁科捜研との火花が散る中、裁判の行く末は--驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!
内容説明
民間で科学捜査鑑定を請け負う“氏家鑑定センター”。所長の氏家京太郎のもとに舞い込んだのは、世間を騒がせる連続殺人犯の弁護士からの鑑定依頼だった。若い女性3人を殺害し死体から子宮を抜き取る猟奇的な事件だが、容疑者は、3人のうち1人の犯行だけは否認している。3人の殺害を主張する検察側の鑑定通知書に違和感を感じた氏家は、犯人の体液の再鑑定を試みる。しかし、試料の盗難や職員への暴行など、何者かからの邪魔が相次いで―。警視庁科捜研と真っ向対立しながら挑む裁判の行く末は?
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。音楽から社会問題、法医学まで幅広いジャンルのミステリーを手がけ、多くの読者の支持を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
399
中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。今回は新シリーズ、民間の科学捜査鑑定所なんて存在しているのでしょうか? 第一弾は、上々のスタート、今後も期待できそうです。 https://www.futabasha.co.jp/booksdb/smp/book/bookview/978-4-575-24483-0/smp.html2022/02/26
まちゃ
224
中山氏の新シリーズ。今回の主役は、民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉の所長・氏家京太郎。自分なりの倫理観を持った鑑定のスペシャリスト。これまた、魅力的なキャラクタでした。目新しさはありませんが、期待を裏切らない安定のストーリー。本作も楽しめました。2022/04/09
nobby
223
「わたしたちの仕事は人を裁いたり罰したりすることじゃない」鑑定人としてブレず権力にも揺るがない姿が清々しい快作♬猟奇殺人者による「3人目は自分ではない」という主張、それは死刑逃れか否かをめぐる展開は分かりやすい。歪曲しながらも犯人の正義感に感じる論理と倫理、事件に向き合う一方で利用するという真摯と画策…ヤメ検弁護士とともに因縁の相手との対決、まさに「ふた組の遺恨試合」!絶対的不利な弁護側に、県警のアマゾネスや偏屈な法医学の権威の登場や悪辣さで有名な弁護士なんて噂が加わりニヤリと出来るのも中山作品の真骨頂!2022/04/08
とろとろ
197
民間で科学捜査鑑定を請け負う主人公に猟奇的連続殺人犯の鑑定依頼があった。科捜研と食い違う証拠に違和感を感じ犯人の体液の採集と再鑑定を試みるが何者の邪魔が入り、果ては所員にまで危害が及ぶ。科捜研の他に民間でもこんな鑑定をやるのかという驚きと、理詰めで犯人を割り出していく過程が面白かった。登場する弁護士も検事から流れてきた人だし、主人公自身も科捜研出身という設定で検察と警察の批判も随所にあり、なんだか都合の良い話も幾つかあったように思えるが、概ね納得のいく展開で楽しませて頂いた。これはシリーズ物になるのかな?2022/05/21
しんたろー
195
中山さん新作で新シリーズ狙い?。科捜研出身の氏家が所長である鑑定センターに依頼された連続猟奇殺人の証拠調べに纏わるサスペンス&ミステリ…トリビア的な鑑識知識と登場人物の巧みなキャラ設定を織り交ぜ、著者らしい読み易さでスイスイと読める。終盤前に「犯人が判ってしまう」というミステリとしては残念な作品が近年は多いが、本作も同じ…「どんでん返しの帝王」に拘る事無く「面白く読めれば良いでしょう?」という著者の声が聞こえるよう。『ヒポクラテス』シリーズから光崎教授、『逃亡刑事』からは高頭警部が色を添えていて楽しめた。2022/04/11