出版社内容情報
真知子は、息子・怜の中学受験失敗を理由に、夫と義母から母親失格の烙印を押されたあげく息子から引き離され、ひとりつましい生活を送っている。一方の怜は、義母が信仰する新興宗教に巻き込まれつつあった。そんな折、母子は長野の国立天文台へと束の間の旅に出る――。子を想う母の情愛と信念を描いた長編小説。
内容説明
夫と義母から一方的に、理不尽な理由で別居を言い渡された真知子。その日を境に、一人息子の怜と離ればなれの生活が始まった。孤独な暮らしの中で、頭に浮かぶのは怜のことばかり…。そんな母と子が、長野の国立天文台で束の間の親子の時間を過ごす。そこで目にした天体が、二人の胸にもたらしたことは―。
著者等紹介
穂高明[ホダカアキラ]
1975年宮城県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。2007年『月のうた』で第2回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
115
主人公真知子は、病気をきっかけとして愛する息子と引き離されシャワーのみのアパートでひとり暮らし、役所で臨時職員として働いている。真知子の夫、マザコンくず男には辟易する。病気で入院したら母親失格の烙印を押され、思いやりも何もあったものじゃない。仙台は十分都会だと思うけど、田舎だと見下す。なんでこんな男と一緒になってしまったんだろう。それでも息子怜がこんな夫や義母のもとでも素直に育っていてよかった。真知子が仙台に戻る決意、息子と暮らしたいという思い、すべてを応援したい。そしてくず夫、義母に天罰を!2022/02/20
machi☺︎︎゛
107
婦人系の病気になった真知子は入院している間に旦那に息子の怜を実家に連れて行かれ離れ離れにされてしまう。まずこの時点であり得ないって思ったけどその後の旦那と義母の言動に思わず、くそがっっと言いたくなった。でも怜だけは冷静に物事を判断でき自分の進むべき道をちゃんと考えられるしっかりした子だったから良かった。何か長いスカッとジャパンを見た感じの読後感。2022/12/16
ゆみねこ
86
理不尽な理由で突然別居を言い渡され一人息子の怜と引き離された真知子。つましく孤独な暮らしの中で怜を思う日々。そして夏の終わりの野辺山宇宙電波観測所での出会いが二人に大きなものをもたらす。子どもを守ろうと決断した真知子。自分の意思で新しい道を歩み始める怜。二人の未来は明るい。夫と姑、酷すぎてムカムカ!『かなりや』再読したくなる…。穂高さんの久々の新作、やはり期待を裏切らない。お薦めです!2021/10/23
sayuri
68
有りえない。メルヘンな装丁からイメージしていた物語とは真逆で、自己中な夫と姑にハラワタ煮えくりまくり。子宮筋腫と卵巣嚢腫を併発した妻の真知子に対し無神経極まりない言葉をぶつける夫。妻を労わる事もなく自分の食事を心配。あげく、三週間入院して戻った自宅はもぬけの殻。夫は妻に見切りを付け一人息子を連れて自分の母親の元へ。この姑もまた曲者。怪しい宗教にハマり息子と孫を支配する。一人頑張る真知子を応援しながら、夫とこの姑に天罰が下る事を祈りながら読み進めた。妻を家政婦&介護要員だとしか思わない人達に心底嫌気が差す。2021/10/16
えりこんぐ
60
病気で入院したら母親失格だと?💢 退院後いきなり息子と会えなくなった主人公。とにかく夫と義母があり得な過ぎて腹が立つ。怜がしっかりした子で良かった。でも物語としてはあっさりだったかな。以前に読んだ2作がとても良かったので。。【図書館】2021/12/11