出版社内容情報
21世紀目前、福美は困窮していた。抱えた娘の父親は行方知れず、頼る実家もなく、無職。ただ、母乳だけはあまるほど出続ける。それに目を付けた、母乳を欲しがる家庭に母乳を届ける活動をしているという廣田に福美はナニィ(乳母)として雇われることに。すると、かつての同級生の政治家一家から、ナニィの指名が入り……。
ひとはいつ「母」になるのか。母乳によって子を手放した女と母乳によって母となり得た女の視点から、母性を描いたサスペンスフルな長編。
内容説明
21世紀目前、福美は困窮していた。抱えた娘の父親は行方知れず、頼る実家もなく仕事は辞めた。ただ、母乳だけはありあまるほど出る。それに目を付けられ、必要とする家庭に母乳を届ける活動をしているという団体に福美は雇われることに。すると、かつて同級生だった政治家一家から、乳母の指名が入る。母乳が出ずに困っていたのは、かつて福美をいじめていた奈江だった。求められる母親らしさ、親子の関係や家族のかたちに囚われた二人の女性の視点を通して「母性」を描くサスペンスフル長編。
著者等紹介
深沢潮[フカザワウシオ]
東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第11回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版『縁を結う人』)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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