刑事の慟哭

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  • サイズ B6判/ページ数 295p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575241747
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

組織に刃向かい、居場所を失くした新宿署の田丸刑事。絞殺体で発見されたOLの事件捜査でも主軸から外されたが、帰宅途中に歌舞伎町の人気ホストの刺殺体を発見する。二人の思いがけない共通点を見つけ、その筋を追うことを捜査会議で提案するが――司法の闇に紛れた犯人を捕まえることができるのか。ミステリー界若手屈指の実力者が送る感涙の警察小説!

内容説明

新宿署の刑事・田丸は、本部の方針に反して連続殺人事件の捜査を行い、真犯人を挙げた。結果、組織を敵に回し、署内で厄介者扱いされていた。管内でOLの絞殺体が見つかった。捜査の主軸から外された田丸は、帰宅途中に歌舞伎町の人気ホストの刺殺体を発見する。二人の思いがけない共通点に気づき、その筋を追うことを会議で提案するも叶わず、相棒の神無木と密かに捜査を行うことに―痛切で感涙必至の警察小説。

著者等紹介

下村敦史[シモムラアツシ]
1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。同作は、数々のミステリランキングで高評価を受ける。15年「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補に、また16年『生還者』が第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)の候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しんたろー

248
「熱い社会派」下村さんの新作は裁判員制度の問題点とSNSの闇を取り上げた今日的な力作。主人公・田丸刑事が孤独で独善的なのでイラつくのが難点ではあるが、読み進めると彼にも共感できる創りになっているのが上手いし、著者お得意の「熱い男の友情」がラストに効いてくる。裁判シーンでは検察官と弁護士の戦術合戦が傍聴しているような臨場感があった。事件解明に関しては御都合感もあったが許容範囲だし、次々に起こる事件、複合的な構成、畳みかける終盤で充分に楽しめた。田丸は未読の『叛徒』に登場しているようなので読まなくては!♬2019/07/22

旅するランナー

215
自分には「居場所」がない、自身の存在理由を問う毎日だ。組織に楯突く者扱いされる田丸刑事と、社会に不満を持つ連続ブラック企業爆破犯の気持ちが交差していく。有能な竜ヶ崎弁護士による裁判員裁判も絡んで興味深い展開。さらに、色んな不寛容が溢れる社会への警鐘まで織り込む佳作。容疑者をわざと間違える主人公に「お前に振り回されたら事件がオミヤ(迷宮入り)になってしまう」とほざく管理官。オミャーがもっとも許せんがな。2020/02/02

のぶ

187
下村さんの新刊は警察小説だったが、全体的に暗く静かな物語だった。主人公は新宿署の刑事、田丸茂一。冒頭は新宿のブラック企業爆破事件の発生から始まる。舞台は移り、絞殺体で発見されたOLの事件が発生するが、組織に刃向かい、居場所を失くし事件捜査でも主軸から外されたが、帰宅途中に歌舞伎町の人気ホストの刺殺体を発見する。本書では田丸が孤独な人間として描かれているように感じた。そんな田丸の姿と並行して、裁判員裁判が描かれるが、この内容は非常に興味深かった。いろんな読み方のできる印象を持った作品だった。2019/06/11

おしゃべりメガネ

186
上質なミステリーの下村さん作品で、相変わらずシリアスなテーマをネタに展開します。今作も『司法』をネタに書かれており、裁判での検察と弁護人、そして証人とのやりとりは手に汗にぎる圧倒的な迫力です。過去に自分を貫きとおした振るまいにより、今は'1人'になっている刑事「田丸」はその優秀な捜査能力から、2つの殺人事件の共通点を見つけだし、真相に迫っていきます。そんな「田丸」の相棒「神無木」もちょっと変わり者ではありますが、「田丸」を信じ続ける姿には胸をアツくさせてくれます。『相棒は対等』のセリフにしびれました。2019/07/09

nobby

186
描かれるのは組織に盾突き村八分状態な秀逸な刑事の葛藤で、それまさに『刑事の慟哭』そのもの。ただ、如何せん主人公の冷めた様子や場違いの猛進にイマイチ情熱や真摯さが感じられないのが残念…序盤で語られるビル爆破事件と新宿を舞台に続く殺人が、裁判員制度による公判に絡んで繋がっていく展開はなかなか面白い。後半で辿り着いた犯人はビンゴで少し得意気(笑)それにしても、徹底的に周囲が聞く耳持たず疎外された結果として、自ら道化を演じる駆け引きでしか解決に導けないとはいかがなものか…互いに相棒を思い合う様にようやく救われる…2019/06/26

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