出版社内容情報
夏の甲子園決勝でのエースの起用法をめぐって猛烈な批判を浴び、指導者失格の烙印を押された元監督。ある決意を秘めて、かつての教え子が集う会へ重い足を運ぶ。はたして、あの夏の真相は――「エースの遺言」。第38回小説推理新人賞を受賞した表題作を含む4編を収録。
久和間拓[クワマ タク]
著・文・その他
内容説明
悪夢の甲子園決勝再試合から25年後―炎上した元監督が辿り着いたマウンドの真実とは?事件の奥の奥に隠された真相に瞠目必至の4編を収録。第38回小説推理新人賞受賞作。
著者等紹介
久和間拓[クワマタク]
1990年埼玉県生まれ。2016年「エースの遺言」で第38回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
194
小説推理新人賞受賞作を含む短編4話。どれも面白く読んだ。時間の使い方が上手く、ほろっとさせらりたりで新人さんとは思えない感じ。次はどんな話を読ませてくれるだろう。ちょっと楽しみです。2019/01/28
みかん🍊
102
4編からなる短編集、推理新人賞受賞の作品という事ですがさほど重くなくどんでん返し有りの作品、高校野球の連投は問題になるが実情を知らぬ外野が監督を責めるが選手もやっぱり最後まで投げ切りたい重いも強い、真実は本人たちしか分からない、時間や語り手によってミスリードや伏線があって面白く読めた。2019/02/05
モルク
96
4話からなる短編集。表題作は高校野球の監督とエースピッチャーの話。県予選から連投しついに甲子園の決勝まできた公立高校。相手は神奈川の名門、エース一人に投げさせることに賛否両論あるなか、彼は投げ続け延長18回決着がつかずに再試合となる。覚悟を持って投げさせてくれと言うエースに、監督の下した決断は…そして後年新たな事実が。最近でも話題となった監督の決断、どちらにしても批判は出るんだよね。「秘密」では、墓場まで持っていかねばならぬ秘密…。「切られぬジョーカー」はライバルとの疑心暗鬼と思惑の心理描写が卓越だった。2019/08/31
タイ子
67
また私好みの作品を書いて下さる新人作家さんが現れて嬉しい限り。読友さんがレビューされてた通り長岡弘樹さん風な作品。サックリ読めてラストで驚かされるという4つの短編集。タイトルの「エースの遺言」が好き。甲子園球児が最後の試合に賭けた思いが当時の監督の人生とともに明らかになるそうだったのか!作品。次回作も期待しています。2019/04/07
fwhd8325
63
表題作を含む4編の短編集。どの作品にも物語に余韻があるように感じます。その余韻は、読者として心地よい時もありますが、どこか物足りなさを感じることがあります。表題作は、最近論議されている、高校野球の投手の制限に通じるものがありますが、時がたてば、ルール化されて、このような設定もなくなってしまうのでしょうね。2019/10/20