出版社内容情報
増田忠則[マスダ タダノリ]
著・文・その他
内容説明
行政書士の斉木にかかってきた不穏な電話。男は斉木の娘を誘拐したと告げ、返してほしければ、指定の場所に来るよう命じる。要求を受け入れ斉木は、誘拐犯が衆人環視のなか、ビルの屋上から飛び降りようとしているのを目撃した。その場で斉木に突きつけられた理不尽な要求とは―?(新人賞受賞作「マグノリア通り、曇り」)ほか、衝撃の短編3編を収録!
著者等紹介
増田忠則[マスダタダノリ]
1968年生まれ。神奈川県横浜市出身。関東学院大学卒業。2013年「マグノリア通り、曇り」で第35回小説推理新人賞を受賞。『三つの悪夢と階段室の女王』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
167
自分の行いに対する僅かな後ろめたさや、周囲からの誤解を恐れるが所以の些細な嘘や保身が招く、あり得ないとは言い切れないリアルな悪夢を描いた短編集。面倒には関わりたくない、自分のせいではない、悪気はなかった、そんな無関心や無責任が、間接的とは言え他人の人生に影響を及ぼし、果ては怒りや恨みを買うこともあるという、容赦無いブラック加減に心拍数も上がりっぱなし。マイベストは、極限まで追い詰められた人間の執念と、集団心理の無責任な恐ろしさを誘拐事件に巧みに絡めた「マグノリア通り、曇り」。次作も期待大の面白さだった。2017/07/07
モルク
108
前の3編はやけに執念深い復習劇。きっかけは誰にもおこりうる些細なことなんだけど、なぜか根にもたれる。これは悪夢なのか、自分なら絶対に巻き込まれたくない。いくら事情を説明したところで、相手は自身を正当化しているし、わかってくれるとは思えない。とにかく逃げなければ…。最後の「階段室の女王」はイライラ。早く救急車呼べよ!うろうろしていると疑われるぞ…早くしろ!!2019/03/19
ちょろこ
97
思わず過去を確認してしまう一冊。まさに悪夢で終わらせたくなるようなブラックな作品集。相手からの理不尽な要求、究極の選択、抜け出せない負のスパイラル。自分がもしもこの立場だったら…と初っ端からかなりドキドキ、心拍数やられた。絶対許さないという執念、これが全ての源かと思うと思わず自分の過去を確認せざるを得ない。そして久々のこういうざらつく読後感、やっぱり自分好みだと確認。面白かった。2018/11/15
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
95
84/100点 初読みの作家さん。小説推理新人賞「マグノリア通り、曇り」を含む4話の短編集。どの作品もちょっとした日常の迷いや油断などをきっかけに事件に巻き込まれていく人たちが描かれていて、先が読めない展開と突然もたらされる恐怖に、面白くて一気読みでした。お気に入りは新人賞を取った作品。誰でもつい行ってしまうかもしれないちょっとした行動で、理不尽な復讐に巻き込まれた男が描かれていて、自分の身にもいつ起こってもおかしくないと思うとゾゾっとしました。決して良くない読後感ですが、今後が楽しみな作家さんです。2018/11/13
あも
90
悪夢と言っても人それぞれ思い浮かぶ物は違うだろうが、多分鉄板はこれでしょ?身に覚えがないのに…ってやつ。それでは最高の悪夢をあなたにお届けしましょう。逆恨みとすら言えない通りすがりの行きがかりで娘を誘拐された男、やってもいない通り魔の犯人と疑われ間違った正義感を発揮する自警団に付け狙われる青年、遠い過去から訪れる復讐者…。どれもこれも、どうして自分が!と叫び出したくなるような理不尽さに、苛立ちと焦燥感が掻き立てられる。デビュー作とは思えない完成度に不愉快な話にも関わらず、自然と頬が緩む。非常に面白かった。2019/07/01
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