出版社内容情報
朝井まかて[アサイ マカテ]
著・文・その他
内容説明
時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった「残り者」がいた。彼女らはなにを目論んでいるのか。それぞれの胸のうちを明かした五人が起こした思いがけない行動とは―!?
著者等紹介
朝井まかて[アサイマカテ]
1959年、大阪府生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年、第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞して作家デビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録された。2013年、『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。翌2014年、同書で第150回直木賞を受賞。続けて同年、『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
244
江戸城明け渡し、去るにされない女が五人。大奥に最後の時がやってきた。この時になって初めてここが我が家と、行き場の無い思いをそれぞれが吐き出すのが良い。その中の一人・ふきだけは天璋院から残り者を守れと命を受けていた。それぞれが時代の変わり目を生き延び新しい世を逞しく生きた数年後まで、一気に読ませる。嗚呼、女は強えぇや!清々しくも楽しく残り者達の目撃者となった私だった。昨日は男の生き様を、そして偶然にも今日は女の生き様を読む。どちらも胸熱くなる良き時間だった。2017/02/12
ナイスネイチャ
208
図書館本。江戸城明け渡しの前日、様々な理由で居残った大奥勤めの5人。大奥以外でも無血開城に忸怩たる思いの人はどれだけ居たのだろうか?篤姫や和宮など噂話で出てきたり、家茂、家定、慶喜など性格がよくわかりました。ただ読み終えて悲しく切なくなる物語でした。2016/07/09
酔拳
196
慶応4年4月11日は、江戸幕府が官軍に城を明け渡す日で、4月10日までに、城にいる人は、立ち退かなければいけなかった。小説は、その4月10日の終焉の日を描いている。明日から、大奥で働いていた女中達の多くは、仕事がなくなる。大奥で働く事は、当時の女性達にとっては、ステータスであった。その大奥がなくなるという事は、居場所がなくなるとういうこと。仕事とは、給金をもらうだけでない、自分のやるべき事がある、自分の存在できる場所があるという事をこの小説は強く訴えている。それは、江戸時代でも今でも、共通して言える事だ。2020/06/26
hiro
194
朝井作品7冊目。この7冊の舞台は、江戸、大坂、水戸、尾張に東海道。主人公も武士、町人、商人、浄瑠璃作家、絵師、水戸藩士の妻と多彩だったが、今回の舞台は江戸城の大奥。登場人物は、「残り者」のりつ、お蛸、ちか、ふき、もみぢの5人と猫のサト姫さん、そして直接登場しないが重要な役割の天璋院(篤姫)。江戸城の明け渡しという時代が変わる節目の二日間、大奥に残った残り者5人を通じて、大奥を一つの家として働いていた女性が描かれており、今までの正室、側室間の確執等を描く映画やドラマとは違う大奥をみることができた。2016/08/29
星落秋風五丈原
179
4月10日、天璋院は江戸城を退去し、御三卿の一橋邸に移った。江戸城は掘を挟んで目の前だったが、足を踏み入れることは二度となかった。前日9日には、和宮と家茂の生母・実成院も退去を済ませ、同じく御三卿の清水家の屋敷に移っていた。本編は、天璋院退去の場面から始まる。天璋院を“旦那様”と呼び見送った者の中には、大奥を去り難い者がいた。表紙絵にも描かれている五人である。よく見ると、一人だけ髪型が京風である。彼女の名はもみじ、和宮付の呉服の間に勤めていた。それ以外は皆天璋院付きである。 2023/02/19




