出版社内容情報
秋吉 理香子[アキヨシ リカコ]
著・文・その他
内容説明
幼稚園児が遺体で見つかった。猟奇的な手口に町は震撼する。そのとき、母は―。ラスト20ページ、世界は一変する。『暗黒女子』の著者が放つ驚愕の長編サスペンス・ミステリー!
著者等紹介
秋吉理香子[アキヨシリカコ]
早稲田大学第一文学部卒。ロヨラ・メリマウント大学院にて、映画・TV製作修士号取得。2008年、「雪の花」で第三回Yahoo!JAPAN文学賞を受賞。2009年、受賞作を含む短編集『雪の花』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
822
面白い。とても良く出来ている。無駄なく力強くインパクトが大きい。作家をやっていると、こういう作品がさらっと産みだせちゃう瞬間というのがあるのだろうか。ジャンル的な好き嫌いは別れるだろうが、ミスリードも上手くミステリのギミックがしっかりしているので、長く読み継がれる一冊になるかと感じた。『絶対正義』からの二冊目で、こういう骨格のあるミステリだと、良い意味で期待を裏切られた。あとは、色々と陰惨で重たい題材を扱っているのでそこが許容出来るかどうかで賛否が割れそう。特に結末の持って行き方は大いに疑問が残るところ。2018/02/27
風眠
543
母親とは、こんなにも激しく子どもを愛するのだろうか。それがたとえ歪で極端な愛でも。長い不妊治療のすえ、やっと授かった娘。その子を守るためなら「何でもする」母親。ある日起こる猟奇的幼児殺人事件、犯人は物語の序盤で明かされる。真琴という名前に「あれ?そうなの?でも違うのかな?」と違和感を感じながら読み進める。ラストへと収束していく真実に母性の執念をまざまざと見る。一人の娘を挟んで二人の母親は微笑む。その微笑みは悪魔に心を売った聖母の微笑みなのか。慟哭と慈愛が罪を犯す。母性というもののひとつの側面を描いた物語。2015/12/25
いつでも母さん
442
お初の作家さん。前から気になってようやく手にする。参りました!おぉ~そう来たかぁと。母とは何と凄いのか。自分も母の端くれではあるのだが・・母の前に人間で有りたいと思う。これは『聖母』と言うのか❓否、狂気と書いて母の愛と読ませるのか?262ページなのに、もうお腹が一杯。真琴の上に起こったことは痛く苦しく、奴を憎む けれど、今、これが我が子を守るためと言うのならば、私は嫌悪する!歪んだこの母二人を許さない。だが、面白く一気に読了した。他の作品も読んでみたくなった。2016/02/24
青乃108号
415
メインで扱うのは幼児連続殺人事件。その犯人は早くから提示されているが、動機については異常性愛を匂わせ、実は…という内容。タイトルの「聖母」は、可愛い我が子を連続殺人犯から守る、例えば映画「エイリアン2」でパワーローダーに乗り込みエイリアンクイーンと生身の死闘を繰り広げたリプリーの様な、そんな猛々しい物語を想像したりしたが残念。そうはならず、終盤明らかになる物語の真相は。ああ、またこの本も叙述トリック物なのか。叙述でごまかさず正々堂々、物語の力でグイグイ圧倒する様なそんな本を俺は読みたいんだってば。 2023/03/30
周到&執拗
383
去年の話題作をやっと読む。『聖母』というタイトルは母親の愛の深さを表現したものかと考えていたが、むしろ「父親はどうでもいい」という意味らしいw。聖母は処女懐胎、男不要だからね。「男はいらん」的なネタ満載なので、女子と自虐的男子に特におすすめ。Aと思っていた描写がBに反転する、というよりは、Aと思っていた描写がAともBとも取れる描写だったと判る、といった連城三紀彦的テクなので、好悪は分かれるだろうけれど、私はこの話結構好きです。2016/02/27




