出版社内容情報
中2の加奈太。息子の気持ちが掴めない征人。息子と父親、そしてかつて少年だった父親の視点で交互に描く、青春&家族小説の感動作!
内容説明
飛び込みに熱中し、親友の初恋を見守り、一夜限りの冒険をした、あの夏―。14歳の息子と、かつて14歳だった父親。二人の少年が過ごしたのは、「神様の島」。思春期のきらめきとほろ苦さ、そして家族の温もりが全編に溢れる感動長編!
著者等紹介
椰月美智子[ヤズキミチコ]
1970年神奈川県生まれ。2002年『十二歳』で第42回講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
243
椰月さんにしか書けないと思われる、とても椰月さんらしいアットホームな雰囲気の中に意外とシリアスな部分もおりこんだ作品でした。限られたひと夏の時間を南の島で過ごす少年と父親、その2人の出来事を少年の「今」と父親の「過去」を交互に書き綴りますが、どちらもとても魅力的な人物が交差し、どんどん読めてしまいます。しかし、やはり父親の少年時代の無邪気な30年前とは違い、今の時代を綴る少年たちの人間関係は少し複雑なモノが垣間見え、そこはある意味‘時代’をしっかりと感じさせてくれます。こんな少年時代、過ごすべきですね。2015/09/18
utinopoti27
166
14歳の青春、特別な輝きに満ちた夏が訪れる。桐山征人は、14歳の息子・加奈太との距離感がつかめずに悩むシングルファザーだ。夏休みを利用して久しぶりに故郷の沖縄・天徳島に帰省した征人。物語は島での出来事を中心に、征人と加奈太、そして14歳だった頃の征人と、視点人物を入れ替えながら進行する。ギラつく日差しにキラめく海、抜けるような青空、かけがえのない友たちとの出会い・・。島の美しい自然を背景に、世代を越えた思春期の揺れ動く心理のひだが、瑞々しく描き出されている。爽やかでどこか甘酸っぱい、ひと夏の成長物語。2021/07/03
takaC
141
で、征人が書いた小説がこの『14歳の水平線』でした、なんて考えても楽しいけど、それだとリドルっぽくなっちゃうね。なんにせよ中学生が瑞瑞しかった。2016/08/24
モルク
124
14歳の加奈太は、両親の離婚と部活をやめた閉塞感で父に対して反抗的。夏休みに父の故郷の島のサマーキャンプに参加するが、メンバー6人ははっきり3対3に分かれ反目しあうが…。神様のいる島の因習、儀式そして妖怪の存在を通して、加奈太の父の14歳の頃の話と交互に語られる。キャンプの子供にあまり介入せずそっと見守る父の幼なじみの友人タカさんの島を思う気持ち、一途な愛がすてき。夏休みの間にひとまわり大きくなった息子を見る父は、自らの少年時代と重ね合わせ何を思っただろう。いい話だった。2018/10/05
chimako
103
大当りの椰月さんだった。気持ち良く読了。沖縄の先の小さな島、天徳。島に里帰りした父 征人と息子 加奈太。その二人の14歳の夏が交互に描かれる。海で父を亡くした征人と自分に苛立つ加奈太。風葬やドゥヤギーというその土地の風習や伝説を絡め少年のきらめくような夏の日の物語がキビキビと進んでいく。イヤな奴らとの反目、気持ちがツウジアッタ時の悦び。一見どんくさい光國の天然の優しさに救われながらオトナヘノ扉をひとつ開いた少年たちはまぶしいくらいにキラッキラしている。中学生に読んでほしいなぁ、こういう物語。2016/03/11