二千七百の夏と冬〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 306p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575238648
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

紀元前七世紀、東日本―ピナイ(谷の村)に住むウルクは十五歳。野に獣を追い、木の実を集め、天の神に感謝を捧げる日々を送っている。近頃ピナイは、海渡りたちがもたらしたという神の実“コーミー”の噂でもちきりだ。だがそれは「災いを招く」と囁かれてもいた。そんなある日、ウルクは足を踏み入れた禁忌の南の森でカヒィという名の不思議な少女と出会う。

著者等紹介

荻原浩[オギワラヒロシ]
1956年埼玉県生まれ。成城大学卒業。広告会社勤務を経て、コピーライターとして独立。97年『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2005年『明日の記憶』で第18回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kishikan

114
怒涛の上下巻600頁読了!面白かったなぁ。狩猟の時のドキドキ感、自然の雄大さ、古代人の生活、そして住んでる時代が違っても変わらぬ愛の形、荻原さんの短かくて明瞭なタッチの文章が、人の生き方というものを引き立たせてくれる。縄文期から弥生期への移行、想像の中でしか思い描くことはできないけれど、現代からの科学的な見方も交えているから、より鮮明に映る。でもそれよりなにより、ウルクとカフィ、二人の青年の愛の形が胸にジーンとくる。2700回の夏と冬を遡るロマン溢れるお話でした。2015/02/09

モルク

111
物語下巻。故郷ピナイを追われたウルクはコーミーを探して山を越え、ヒグマと闘い、フジミクニという農作を主とする村にたどり着く。そこで禁断の南の森で出会った少女カヒィと再開するが…言葉、習慣の違いの中、カヒィとの恋も始まる。縄文人のウルクと弥生人のカヒィ。力を持つものの支配のもと、人が人を殺し、戦いが始まろうとしていた。村を出るウルクとカヒィ、迫り来る追手…ヒグマ、そして追手との戦いに興奮する。壮大なロマンを見せてもらった。2023/06/09

hiace9000

103
ピナイを追われ、コーミーを求め、ヒグマとの死闘の末に辿りついたフジミクニ。海渡りが統治する理想郷での人々の生活を寓話的に描き、現代人に改めて「人とは」「戦とは」を問う。安定と富を求め、権力者に傅くなかで人は多くのものを手放し、忘れ去り、憎しみを知ってきた。一方で誰かを愛し、違いの壁を乗り越えつないできた二千七百星霜の命が、縄文から令和の今への歴史でもある。もの言わぬ古人骨がもの語る壮大な歴史ロマン。正邪も愛憎も善悪もすべて、彼らが残した祈りとDNAは、今なお私たちの中で息づき続けているのだ。2023/02/28

reo

96
ウルクが探し求めたコーミーは、神の実などではなく、諍いの種なのだと…。更に「フジミクニの人間は貯め込むのが好きなのだ。ピナイよりたくさんの食べ物があるのにピナイの人間よりずっと、食べ物がなくなることを恐れている」という。戦争のもとは人々の欲に尽きるという、著者の賢明な文明論が垣間見てとれる。そそ、それと便所があるのは川の浅瀬に木を組み上げ、渡した横木に跨って用を足す。足場の横木は平たい板で、囲いと屋根もついている。それで川屋(厠)なんだ!知らなんだー(笑)またひとつ賢くなった。面白かった。お薦めです。 2018/02/17

masa

96
上巻はいつものテイストと違うかな?と感じたが下巻でしっかり荻原ワールドが展開して大満足だった。物語のラスト、フジミクニを追われたウルクとカヒィが洞で果てる場面は涙無くして読めなかった。実際に手を繋いだ男女の人骨は2011年イタリア北部モデナのローマ遺跡から発見されている。約1500年前のものという。(気になる方は検索下さい)人間の営みは基本的な部分では変わらないのだろう。「歴史をつくっているのは国家や政治や経済じゃない。歴史は恋がつくっているのだ。」2015/02/15

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