内容説明
落ちこぼれ高校生コオは、父親の転勤によりNYで生活することに。郊外の退屈な学校を抜けだし、ダウンタウンへ足を踏み入れたコオを迎えてくれたのは、ちっぽけなレゲエ・バーだった。不器用ながらも自分らしく生きているバー仲間との出会いから始まった日々は、コオに今まで知らなかった世界を見せてゆく。心から大切だと思える恋、ホームレス老人の生きざま、天才ミュージシャンの孤独な素顔、かけがえのない人の突然の死…。心揺れる17歳の少年は異国の街で、今ゆっくりと歩きだした―。
著者等紹介
野中ともそ[ノナカトモソ]
東京都生まれ。明治大学文学部卒業。1998年『パンの鳴る海、緋の舞う空』で小説すばる新人賞を受賞。イラストレーターとしても活躍中。現在、ニューヨーク在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さく
14
バーで話しかけられた女の子を友だちの家に連れ込むような高校生・コウが主人公。父の転勤でニューヨークに行き、そこで小さいレゲエバーを見つける。レゲエ、恋、カメラ、ホームレス、死。いろいろなものがごちゃ混ぜになっている雰囲気が好き。それもレゲエの雰囲気なのかな。2017/07/14
dirk
6
いつも楽な方を選び生きていた少年コオが、NYの街、そしてその街のレゲエバーを中心に、生きる辛さ、死の重みを知り、自分の中にあったのに気付かなかった情熱に気づき成長していく青春小説。その過程に流れるBGMは時に陽気なダンスホールだったり、甘いラヴァーズロックだったり、ヒリヒリしたシリアスなルーツだったり。うん、面白かった!上手く言えないが、レゲエの持つ様々な世界観を一つのストーリー化した様に感じた。ストーリーがあってレゲエが流れるのでは無く、レゲエがあってこの物語が出来た、そんな風に思った。2012/07/05
たまりんど
5
著者のほかの少年物の作品に比べたら、なぁんか主人公のコオがいい加減でおちゃらけてんなぁ…と思ったけど、最後まで読んでみて納得。都会で遊んでるような軽くてお調子者の高校生が、NYの片隅でこれまたいい加減で怪しい人々や、けっして綺麗事に終わらない現実に揉まれ、見つめ、手探りで進んでいく話なのだと。片思いの女性が直面したテロや元カノへの後悔を通して死を見つめるところで、コオのもがく声が伝わってくるようだった。「海鳴屋楽団、空をいく」と共にお気に入り音楽小説。2014/06/27
knoriko
3
レゲエが好きな少年コオ。父親の仕事の都合でアメリカに住むことに。カメラを持って歩きまわってたどり着いたのはNYにある、小さなレゲエ・バー。そこで会ったのはいい加減だけど憎めない仲間達。ファインダーを通して、自分の世界を広げていく。 とてもアメリカンな話。ちょこちょこ曲の引用が出てくるのでレゲエを知ってたらもっと楽しめたかも。それでもこれは楽しい。自分が撮った写真が認められるたびに、コウの自己みたいなのもピントが合うみたいにはっきりしていく。野中さんハマるかも。2010/07/28
海 都
3
お気に入りの作家が増えた。2009/12/23