内容説明
77歳のとき脳出血で倒れ、左半身まひになった社会学者の鶴見和子さん。重度の障害と共生し、老いと向き合う姿は、高齢社会へのカンフル剤になる。
目次
社会学者、鶴見和子の命日
余生は車いすと言われて
リハビリテーションの第一人者、上田敏先生との出会い
失ったものより得たもののほうが大きい
時間貧乏のわたしのスケジュール
「ゆうゆうの里」の住み心地
歩く稽古は一日も欠かせない
身だしなみ
いざというときは着物で決める
食事で心がけていること〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fonfon
10
「身のうちに 死者と生者がともに棲み ささやきかわす魂ひそめ聞く」和子さんは死に仕度をはじめて後、生き還った。精神の回生を生きた人である。障害者の立場から、死者の立場から日本を社会的に開いてゆくというのは、戦後日本のやり残したことで、やらなければならない、一番大切なこと、と書いておられる。10数年前に初読した頃と比べて、和子さんの俳句が身にこたえるようになった自分の変化に驚く。死者の立場から、、というのは、若松英輔猪著「魂にふれる」のテーマでもあった。このことを自分の身により引き寄せたい。2012/09/21