内容説明
故郷を失い、我が子を失い、それでも大自然は人間を許さない。想像を絶する過酷の中で、一体、人は何ができるのか―。前人未踏の十勝原野にはじめて鍬を打ち込んだ明治の男。今の時代にこそ問いかける、脚本家・松山善三、渾身の実話小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
3
☆☆☆☆☆ 圧倒的な筆力と壮絶な物語(しかも史実にもとづく)に魂がゆさぶられた。自然の凄まじさ、美しさ、アイヌの無垢・気高さ、和人の醜さ・傲慢さが混然一体となって迫ってきた。先人たちの艱難辛苦のうえに、今の豊饒な十勝野があると覚え、心が震えた。それにしても写真に見る依田勉三の眼力はすごい。まさに意志の塊だ。2013/03/26
yodapone36
1
開拓の何たるかを、この本で初めて知る。原野だった場所に鍬が降ろされ、作物が実り、村が作られる過程には、時に壮絶な苦労があることを知らずに生きてきた自分‥。良い読書だった。2015/08/09