内容説明
学派の垣根を越え臨床介入の幅を広げた著名なセラピストたちによる、公私双方を振り返った回想録を掲載。精神力動学派として知られる人物もいれば、認知行動療法家、体験療法家として有名な人物もいる。最後の章では、各セラピストの回想録に共通して見られるテーマについて、心理療法におけるクライエントの変容過程に関する知識と比較しながら論じている。
目次
1 変容のコンテクスト(はじめに―セラピストの進化)
2 精神力動学派のセラピストの職業的回想(歴史信奉者の生育史;ひとりの精神分析的心理療法家の回想;ひとりのセラピストの旅路 ほか)
3 行動療法のセラピストの職業的回想(ひとりの行動療法家の自伝;セラピーの意味を見出す―40年間の変容をめぐる個人的な物語;ひとりの行動療法家の省察 ほか)
4 体験療法のセラピストの職業的回想(体験過程療法から折衷療法のセラピストへ;統合的体験療法のセラピストの進化;私の変容のプロセス―確実性から混沌へ、そして複雑性へ ほか)
5 セラピストは何よりも人間(結論―セラピストの変容過程を通観して)
著者等紹介
ゴールドフリード,マービン・R.[ゴールドフリード,マービンR.] [Goldfried,Marvin R.]
ニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校の心理学・精神医学の教授。教育、臨床指導、研究に従事するかたわら、限られた時間であるが、ニューヨーク市で個人開業を続けている。サイコロジストの有資格者であり、アメリカ心理学会臨床心理学部会および心理療法部会で優秀心理学者賞を受賞している。また心理療法研究学会の前会長、“In Session:Psychotherapy in Practice”誌の創刊者であり、数多くの専門誌の編集委員をつとめ、著作活動にもいそしんでいる
岩壁茂[イワカベシゲル]
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授。専門は心理療法のプロセス研究で、感情に焦点を当て「人はどのように変わるのか」という変容プロセスに関する研究を行っている。その他の研究テーマは、治療的失敗と困難、心理療法における感情の変化、臨床家の職業的成長と訓練である。臨床アプローチは感情に焦点を当てた統合的アプローチであり、特に思春期から成人期の個人療法を行っている
平木典子[ヒラキノリコ]
IPI(統合的心理療法研究所)所長。専門分野・研究領域・臨床アプローチは個人療法と家族療法の理論・技法のシステミックな統合の実践・研究とその成果を活用したセラピスト訓練。訓練には、セラピストのアサーティヴなコミュニケーション能力と介入言語の選択能力の向上を図るライヴ・スーパーヴィジョン方式を取り入れ、学派を超えたスーパーヴィジョン・モデルを追求している
福島哲夫[フクシマテツオ]
大妻女子大学人間関係学部人間関係学科社会・臨床心理学専攻教授。専門分野・研究領域・臨床アプローチはユング心理学や精神分析を中心とした力動的な心理療法と、認知行動療法やヒーマニスティックな心理療法、さらにブリーフセラピーなどをクライエントの動機づけと内省力に応じて使い分ける「3次元統合モデル」などによる効果的な心理療法統合の探究と研究。東京渋谷の「青山心理臨床教育センター」で、実践と後進の指導を続けている
野末武義[ノズエタケヨシ]
明治学院大学心理学部心理学科准教授。専門分野・研究領域・臨床アプローチは個人療法と家族療法の統合を模索しながら臨床活動と教育・研究を行ってきた。最近の研究テーマは、統合的カップル・セラピーと心理療法におけるジェンダーの問題、とりわけ男性クライエントの理解と効果的介入、対人援助職のためのアサーション・トレーニングである。IPI(統合的心理療法研究所)で個人・夫婦・家族療法の実践と臨床指導を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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