出版社内容情報
時は江戸中期、算学の才能に恵まれた最上徳内は、師の計らいで蝦夷地見分隊に随行する。そこで徳内が目にしたのは厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中で逞しく生きるアイヌの姿だった。少年フルウらとの出会いを通して、いつしか徳内の胸にはアイヌへの尊敬と友愛が生まれていくが……。松前藩との確執、幕府の思惑、自然の脅威など、様々な困難にぶつかりながらも、北の大地へと向かった男を描いた著者渾身の長編小説!
内容説明
時は江戸中期、算学の才能に恵まれた最上徳内は、蝦夷地見分隊に随行する。そこで徳内が目にしたのは厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中で逞しく生きるアイヌの姿だった。少年フルウらとの出会いを通して、徳内の胸にはアイヌへの尊敬と友愛が生まれていくが…。松前藩との確執、幕府の思惑、自然の脅威など、様々な困難にぶつかりながらも、北の大地へと向かった男を描いた著者渾身の長編小説!
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で日本ファンタジーノベル大賞、12年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴルフ72
19
最上徳内さんは凄い人!算学に秀でていたため蝦夷への見分に同行するがそこで見たアイヌの人々に心奪われ、それからの彼の人生が大きく変わっていく。田沼意次の時代から松平定信の時代に翻弄されながらも彼の気持ちは全くぶれない。もう少し徳内さんの人生を描いて欲しかったかな?2025/05/31
ぶんぶん
18
【図書館】北海道のアイヌとの懸け橋になった最上徳内の話。 良く知らない人物で田沼意次と松平定信の時代で、政権が目まぐるしく動く時代であった。 徳内はひたすら蝦夷地の内紛にこころを砕き、安寧を願うが。 徳内の妻とか友人を細やかに描いた傑作である。 とくに、アイヌの少年・フルウとの交流を描いて涙あり。 こうやって尽力しても、なかなか上手く行かないものですね。 老境にして蝦夷地を夢見る徳内の眼に浮かぶものは・・・2025/07/19
Y.yamabuki
16
最上徳内は、江戸中期、幕府の命で蝦夷地探索に加わる。彼は肉付けされ、とても魅力的な人物に描かれている。(実績から言って、実際そうであったのであろう)逆境にも負けない蝦夷の地への強い探求心、アイヌの人達との心からの交流、周りの人達への思い遣り。アイヌの人達の助けを得て徒歩や舟での択捉島までもの探索は、彼の強い好奇心と強い心の成せる技だったのだろう。それに比べて、幕府は、松前藩は… ドキドキも有り、読後感の良い面白い作品だった。2025/06/27
チャリー・コグコグ
16
江戸時代中期(田沼意次と松平定信の時代)、蝦夷地探検した学者、最上徳内。本作で初めて知った人物。多くのアイヌの人々がアイヌ文化を保ち生活していた時代。松前藩の駄目っぷりよ。江戸時間の冒険+武士社会の不合理と庶民の生きる力の物語。 徳内死後から年月が経った明治時代以降の北海道開拓とアイヌに対して取られた政策を思うと晴々とした気持ちにはなれないが、最上徳内の純粋なバイタリティに好感が持てた。読後感良。本作には出てこないけど間宮林蔵の樺太探検物も読んでみたい。江戸時間の未知への探究心侮れないぞ。2025/05/26
coldsurgeon
13
江戸時代中期、田沼意次が政の主導をしていたころ、北海道・蝦夷地の探索に尽力した男を描いている。交易によってしか収入がない松前藩のアイヌ民族からの収奪を心に焼き付けながら、いつの日か、人と人との対等な付き合いを目指す姿は、心打つ。最上徳内という人物は初めて知ったが、北海道開拓の始めとして記憶すべき人物だと思う。2025/04/29