出版社内容情報
仇討ちを誓う女、元忍の医者――。
「上絵師 律の似面絵帖」「神田職人えにし譚」の著者による、人情時代小説シリーズ開幕!
藩内の上役の奸計によって家族を亡くし、遊女に落とされた伊勢国津藩の武家の娘・凜。
復讐を誓う彼女は、津藩江戸屋敷に出入りする町医者・栗山千歳に身の上を偽って近づき、彼の弟子となった。しかしその千歳も、かつて恨みを買い、命を狙われている「仇持ち」であった……。
凜、千歳、千歳の助手として凜を警戒する隻腕の佐助。わけありの三人が織り成す人情時代小説シリーズ第一弾。
文庫オリジナル。
内容説明
藩の上役の奸計によって家族を亡くし、遊女に落とされた伊勢国津藩の武家の娘・凛。復讐を誓う彼女は、津藩江戸屋敷に出入りする町医者・栗山千歳に身の上を偽って近づき、彼の弟子となった。しかしその千歳は、かつて恨みを買い、命を狙われている「仇持ち」であった―。凛、千歳、千歳の助手として凛を警戒する隻腕の佐助。わけありの三人が織り成す人情時代小説シリーズ第一弾。
著者等紹介
知野みさき[チノミサキ]
1972年、千葉県生まれ。ミネソタ大学卒業。2012年、『鈴の神さま』でデビュー。同年、『加羅の風』(刊行時に『妖国の剣士』に改題)で第4回角川春樹小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
80
タイトルの作品はアンソロジーで出てたんですね。積本になってるから読まなくては。兄が殺され、家族は困苦で死亡、果ては遊女に落とされた娘・凛。仇を打つため江戸に出てきて、目当ての屋敷に出入りしている町医者に近づく。その町医者も事情を抱えていたり、手伝いをしている片腕の小僧も訳ありだったり、何かを抱えて生きているのは凛だけではないことに気づいていく。彼女の仇討ちの納得の結末で良かった。患者にも病気、ケガだけではなく「夏の鎌鼬」のような精神的苦痛もあったりでこれからの物語が楽しみなシリーズが始まった。2023/05/07
天の川
59
アンソロジー『いやし』に収められた中で一番面白い!と思ったのは、他は既読でこの表題作だけが書き下ろし作品だったことだけが理由ではない。知野さんのこれまでの作品より骨太な印象。仇を討つために江戸に出てきた凛だけではなく、登場人物ほぼ皆訳あり。命を狙い狙われ、やがて絆が深まっていく様が良い。凛は本懐を遂げ(?)、千歳は一定の和解が得られたものの、片腕の12歳の佐助、浪人の柊太郎も秘密がありそうで…シリーズとなるのがとても楽しみ♪2023/06/06
真理そら
59
アンソロジー『いやし』でシリーズ化してほしいと思っていた「仇持ち」がシリーズ化した(うれしい!)石川凛や栗山千歳の仇の決着はついたが、佐助、柊太郎にはまだ謎が多いし、凛の師・要はその後どうなったのか、童顔の柊太郎の凛への想いは実るのかなど物語はまだまだ続きそうだ。2023/03/11
のんちゃん
40
伊勢の国から仇討ちの為江戸に来た凛。仇に会う為利用しようと近づいた医師千歳は元伊賀者で、その千歳は仇持ちであった。凛はいつしか、医師の千歳、その助手の隻腕の佐助、千歳の近隣の浪人柊太郎と共にこの江戸で、自身と千歳の問題を解決しながら医療に携わっていく。知野先生の時代小説新シリーズ。本当にこの作者の作品は読みやすく、登場人物も皆、魅力的で、大好きな作家さんだ。今作はまだ他の登場人物の経歴も語られておらず、医療ものでもあるので、長く続く予感。同氏の上絵師律シリーズと並行して、ずっと読んでいきたい。2023/05/11
ひさか
36
2023年3月PHP文芸文庫。仇持ち、夏の鎌鼬、忘れぬ者、の3つの連作短編。仇持ちは2021年8月PHP文芸文庫のアンソロジーが初出で、今回、その続編が書き下ろされた形。医、チャンバラ、忍者、人情という無茶な展開で少し驚くが、話としてはそれなりに纏まっている。続きはどうなるのか?珍しい展開だけに気になります。2023/04/20