PHP文芸文庫<br> 火花散る―おいち不思議がたり

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PHP文芸文庫
火花散る―おいち不思議がたり

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  • サイズ 文庫判/ページ数 352p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784569901237
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

菖蒲長屋で赤子を産み落とし、消えた女――。
不思議な能力を持つ娘おいちは、その女の聞こえるはずのない叫びを聞いてしまう。岡っ引・仙五朗らと力をあわせ、女を捜していたおいちのもとに、女が惨殺され、無残な姿で見つかったとの報せが――。
傷痕から見えてきた女の正体、女が抱えていた事情、そして母を亡くした赤子の運命は?
一方、松庵のもとには、老舗の薪炭屋の主人と内儀がやって来て、母おきくの病を治してほしいと懇願する。
一見、なんの関係もないかに思われた二つの出来事だが――。
父・松庵のような医者になりたいと願うおいちは、夢に向けた一歩を踏み出すことができるのか。そんなおいちに想いを寄せる新吉、凄腕の岡っ引・仙五朗、そして個性的なキャラである伯母のおうたも健在。
人気の青春「時代」ミステリー第四弾。

内容説明

不思議な能力を持つ娘おいちは、父・松庵のような医師になるべく、努力を重ねていた。そんなおいちの前に突然現われ、赤子を産み落として姿を消した女が殺される。その女の、聞こえるはずのない叫びを聞いたおいちは、岡っ引・仙五朗らと力をあわせ、下手人探しをするのだが…。傷痕から見えてきた女の正体、そして赤子の運命は?おいちと仙五朗の推理が冴えわたる、人気の青春「時代」ミステリー第四弾。

著者等紹介

あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年、岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校の臨時教師を経て、作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー1~6』で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぶち

93
とうとうおいちが自分の人生の目標をしっかりと定めた巻となりました。女のための医者になりたい。女のための診療所を設けたい。それは、『闇医者おゑん秘録帖』のおゑんにソックリです。違っているのは、闇医者ではなく、正統な医者という点でしょうか。作者のあさのあつこさんには、"女のための医者"を描くことで、女の覚悟や悲哀、切ない生き様、女の幸せを露わにしていくというテーマを追求しているように思えます。それにしても、権力の座についている男たちのバカさ加減は、江戸時代も現代もまったく変っていませんね。嫌になります。2022/09/06

pohcho

55
シリーズ第四弾。自分だけに聞こえる「声」に導かれ、身重の女性に出会ったおいちは赤ちゃんをとりあげる。出産後にいなくなった女性は何者かに殺されてしまい・・。武家のお家騒動的な話。健やかな赤ちゃんの可愛らしさにほっこりしつつ、武士の身勝手さにはあきれてしまった。そして、おいちは女のための医者になると決意。最後、子供のいないおうたさんの、おいちへの思いにグッときた。2023/01/12

Koji Eguchi

47
どうやら初あさの。★★★。江戸の人情ものは元々好きなジャンルだが、とにかくおうたと松庵の掛け合いが可笑しい。貧しい人たちが互いに助け合って生きていくのは素晴らしいが、井戸端会議はときに個人情報のダダ漏れに繋がる恐れがある。家を守るために兄の許嫁とお腹の赤ちゃんを殺害しようとする小十郎の苦悩も解らなくはない。結局権力に踊らされ人の命を奪う輩が許せない。超能力を持つおいちは滝代の想いを汲み取り、命懸けで十助を守ろうとする。自分の孫の顔を思い浮かべて無事なる成長を願うしかない。HEで終わってほんとによかった。2023/07/12

dr2006

41
江戸の世、父である医師松庵のもとで経験を積み女性医師を目指す、おいち不思議がたりの第4弾。おいちは人の良悪の意識がイメージとして見え、それが不思議がたりの所以である。見える事で思い悩む反面、診療にも活かされている。経済的困窮や身分制度等、時代故の厳しい環境にありながら、真摯に医療に向き合うおいちに心打たれる。新吉を伴い往診先からの復路、軒下で産気づき苦しむお滝を保護する。難くも男の子を産むがその子を残し姿をくらました。超えてはいけない一線を心得ること。一方で貫き通さなければならない嘘がこの世にはある。2022/06/19

優希

39
女が突然現れ、赤子を産み落とすことから不穏さを感じました。聞こえるはずのない女の声が聞こえるおいち。岡っ引きの仙五郎と協力し、謎に挑んでいくのが危険に自ら飛び込むおいちの性格をよく表していると思いました。おいちは自分なりの力で赤子を守ろうとしているのですね。女性は強いのです。2024/01/13

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