出版社内容情報
庭師「室藤」は、薬種問屋から、暴風雨で荒れた庭普請の依頼を受ける。職人たちの世話をする、室藤の一人娘・お紗代はある夜、垣根で隔てられた今は使っていない離れの庭から、子供の声がすることに気がつく。つられて足を運ぶと、そこには真っ赤な鶏頭の花が咲き乱れていた……。家族の確執から遺った念、紛れ込んだあやかしなど、庭に関わる不思議な事件を、お紗代が解決する感動の時代小説。 文庫書き下ろし。
内容説明
庭師「室藤」は、薬種問屋から、暴風雨で荒れた庭普請の依頼を受ける。職人たちの世話をする、室藤の一人娘・お紗代はある日、垣根で隔てられた今は使っていない離れの庭から、子供の声がすることに気がつく。つられて足を運ぶと、そこには真っ赤な鶏頭の花が咲き乱れていた…。家族の確執から遺った念、紛れ込んだあやかしなど、庭に関わる不思議な事件を、お紗代が解決する感動の時代小説。文庫書き下ろし。
著者等紹介
三好昌子[ミヨシアキコ]
1958年、岡山県生まれ。嵯峨美術短期大学洋画専攻科卒業。『京の縁結び―縁見屋の娘』で第15回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
83
フィクションだとは分かってはいるが、こういうのを読むと心が引き締まる思い。ややもすると草取りもサボり、剪定もそのままってありがちな我が家の庭。そこにも何かがあるのかもしれない、なんてね。庭師の娘・お紗代は不思議な力を持っている。その不思議な力を必要とする人たちがいるのも確か。だが、お紗代には人に言えない胸に秘めた男がいる。その人とは絶対に結ばれない運命の中で彼女自身の人生を歩き始めるという物語。白梅が居なくなった人たちを偲んで咲かなくなった「人恋の庭」にホロリ。小さな庭でも丹精こめて愛でなくては。2023/05/16
真理そら
68
アンソロジー『もののけ』所収の「韓藍の庭」に感動したのでお紗代さんものとして連作短編集を読めたのが嬉しい。庭師「室藤」の一人娘・紗代は庭の声が聞こえるせいで「韓藍~」に登場した市松に恋をしてしまった。でも彼岸と此岸に別れていてはこの恋は叶うはずもなく…。「韓藍~」に登場した市松以上に孤独な岩松の紗代に対する想いは恋だろうか。庭師「空木屋」の源治は紗代のなにもかもを受け入れると言うけれど紗代のこれからの巫女としての5年はどんなことになるのだろう。続編希望。2020/11/09
はつばあば
44
細かい事を言い出したらキリはないです。2017年に読ませてもらった「縁見屋の娘」から考えると断然この本と「世迷い蝶次」ががっつりと私の範疇でした(^^♪。庭師「室藤」の一人娘・お紗代は「雨柳堂の蓮」のように視える人でした。庭に宿る想いと人の想いをうけとめてくれるお紗代ではありますが・・巫女で一生終えるのはこの時代ではちょっと可哀想なので源次と5年後には華燭の典を挙げて欲しいです。・・・庭は草ぼうぼうにしてたらあきまへんえ!って声が聴こえる(^_^;)。2022/09/03
fuku3
18
2021年1月26日読了。明和五(1768)年京都、庭師藤室の一人娘お紗代19歳は妖(あやかし)の姿が見え話し庭に宿る不思議な事件を次々に解決し"庭封じのお紗代"と評判になった‼︎六篇の連作短篇…。「庭には、人と同じ様に怒ったり泣いたり喜んだり想いが宿る、魂を持つと云う」そんな庭が人に悪さをしお紗代が危ない目に遭いながらも邪気を鎮め事を収めるが、チョとお紗代の力がファンタジーに頼りすぎかな⁉︎もっと周りの人達と力を合わせて解決する!その方が話しが広がったのでは⁉︎最後の市松のくだりはうるぅと来てしまった!2021/01/27
onasu
16
先行したアンソロジー「もののけ」から、まんまと誘導されました(笑)。 掲載されていたのは初編の「韓藍(カラアイ)の庭」で、それが怪異譚として、いい案配に庭(異界)に案内してくれる。そして、二編目「時迷(トキマヨイ)の庭」からが本編の始まりといった体だが、初編からもひと筋の糸が続いているというのが妙。 「見えちゃう」系という紹介だったもので、何れの折にとしていたのがミスでしたね。三好さんの近世もの推しとして、先行きは見えませんが、お紗代の身の振り方が先送りといった体だったので、続編を期待しておきます。2020/12/30