出版社内容情報
日本社会において長らくタブーとされてきた「外国人問題」が、2025年参議院選を機に突如として主要な政治テーマとなった。背景には、クルド人による事件や不法滞在者の存在がクローズアップされたことがあるが、議論の多くは全体のわずか2%に過ぎない「不法在留外国人」に集中している。しかし、残り98%の正規在留外国人の存在こそ、今後の日本社会にとって本質的な論点であると著者は指摘する。
日本は深刻な人口減少と労働力不足に直面している。2030年代後半には、年間約100万人規模で労働人口が減り続けるといわれる中で、外国人の受け入れは避けて通れぬ国家的課題である。外国人労働が賃金低下や治安悪化を招くという通念についても、著者はデータをもとに再検証を試みており、感情論ではなく事実に基づいた議論を呼びかけている。
また、難民認定制度の運用の歪みや、就労目的の偽装申請問題にも触れ、リベラルな性善説にも冷静な視点を持ち込む。一方で、在留外国人との共生を拒み続ければ、将来日本が危機に陥った際、支援を申し出てくれる国が現れないかもしれないという、地政学的リスクにも警鐘を鳴らす。
本書の後半では、日本で学び働いた外国人が帰国後に“親日派”として各国に影響力を持つ可能性を取り上げ、その存在を活用した外交・安全保障戦略を提案する。さらに、日本語を世界に広める構想をも含み、外国人政策を「守り」から「攻め」へと転換すべきであると論じている。
本書は、外国人問題に関する論点を幅広く網羅しつつ、冷静かつ実証的に考察した実用的な一冊である。極端な排外主義でも、性急な受け入れ論でもない、中庸かつ未来志向の政策ビジョンがここにある。感情ではなく、理性と戦略で外国人問題に向き合うべき時が来ている――その現実を突きつける書である。
【目次】
内容説明
気づけば隣に外国人―。「外国人問題」を正しく知るために。「不法滞在者が増えている」と騒がれる一方で、実は外国人の98%は正規に滞在している。私たちはなぜ、2%の“例外”ばかりに目を奪われるのか?本書は、日常のあらゆる場面で存在感を増す外国人労働者の「リアル」に迫る。制度の仕組み、誤解、現場の課題を分析。2030年代後半からは、労働人口が年間100万人ずつ減少していくという現実も迫る。日本の利益になる外国人政策とは?
目次
序 やばい!危ない!でも人手が足りない…。(タブーだった外国人論争が突然、花盛りに;2%の不法滞在外国人よりも、98%の正規外国人を考える ほか)
第1章 あなたの身の回りの外国人は危ない人なのか?(不法滞在者は全外国人のわずか2%;国政選挙なのに「2%の話」ばかり。98%の方はどうする? ほか)
第2章 日本人だけでやってこれたから、今後も大丈夫?(非ホワイトカラー職務で絶望的な人手不足が起きている;少子化でも大卒人材は増えている。減っているのは高卒・短大卒・専門卒 ほか)
第3章 企業は外国人を低賃金で酷使し、儲けているのか?(すでに労働者の4%を外国人が占めている;外国人はどのような形で仕事に就いているのか ほか)
第4章 外国人材戦略が大金を生み「世界制覇」を狙える!(世界に親日・知日網を張り巡らす絵図;外国人材対応の大金を捻出できる ほか)
著者等紹介
海老原嗣生[エビハラツグオ]
サッチモ代表社員。大正大学表現学部客員教授。1964年東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計などに携わる。その後、リクルートワークス研究所にて雑誌「Works」編集長を務め、2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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