出版社内容情報
「チーム・バチスタ」「ブラックペアン」の著者が挑む新境地!
幕末、東西に私塾を創った二人の蘭方医が天然痘撲滅に挑む、著者渾身の歴史医療小説。
<STORY>
江戸時代後期、医者に憧れを抱くひとりの青年が、大坂なにわ橋の上で佇んでいた。青年の名は田上惟章――のちに「緒方洪庵」と名乗る人物である。貧乏藩士の三男坊だった彼は、大坂で師・中天游と出会い、蘭学にのめり込んでいく。
同じ頃、江戸で祝言を挙げるひとりの青年が、医者の道へ歩み出そうとしていた。彼の名は田辺昇太郎――のちの「佐藤泰然」である。知り合いの商人から異国の話を聞いた昇太郎は、蘭学がこの先の世に役立つと考え……。
真面目な洪庵と、破天荒な泰然。長崎で同じ時期に蘭学を学んだ二人は、互いをライバル視しつつも、その歩みは蘭学を大きく発展させ、それぞれ立ち上げた私塾は「西の適塾、東の順天堂」として、若者にとっての憧れの学び舎となっていく。そして二人は、世間を脅かす「天然痘」の撲滅に挑むのだった――。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
179
海堂 尊は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。緒方洪庵の名前は知っていましたが、その物語は初めてです。波乱万丈の人生、医師として教育者として見事な生き様でした。佐藤泰然の存在は、本書で初めて知りました。福沢諭吉が緒方洪庵の塾生だとは知りませんでした。 https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85793-0 2024/11/21
Atsushi Kobayashi
27
最近、明治維新系の書籍が多いですね。もともと何が起こったかよくわかってなかったのですが、この本で適塾がどう貢献したのか、がわかるようになりました。どうしても新撰組中心でしたね。2024/10/27
長くつしたのピッピ
16
著者の医学ミステリーが好きで期待して読んだが、登場人物が多くて,覚えきれない。また、その関係性も「友達の友達の友達」みたいにどうでもいい繋がりがあってわかりづらい。医学史上有名な人物の羅列で、医学関係者なら嬉しいかもしれないが、一般人としては、なんだかおじさんのこんなに知ってる自慢を聞いている気分になった。ストーリーも人物やその功績重視の展開なので、面白みに欠けた。2024/12/12
れんこ
15
緒方洪庵さん、名前は良く知っているけれどどんな人だったのか知らなかったなぁ。尾形洪庵さんが好きになりました。2025/05/04
Olive
12
執念で読了。蘭学か漢学か、江戸末期の時代の波に流されつつ西洋医学が日本で確立していく過程の物語。西の適塾の緒方洪庵、東の順天堂の佐藤泰然、相反する2人と彼等に師事した人物が近代の医学の発展を担っていく様子が頼もしく描かれる。登場人物の多さに苦労したが、福澤諭吉先生の章が良かった。2025/05/03