出版社内容情報
日本では、アメリカや在日米軍にネガティブな説を唱えると「左翼・リベラル」と見なされる。だが、本書の著者は違う。軍事社会学・海軍戦略論・国家論が専門の学者であり、米国で海軍の調査・分析の戦略コンサルタントも務めている。その人物が「日米同盟からの離脱」を説くのはなぜか。
日本人は戦後、安全保障でアメリカ頼みとご機嫌とりを重ねた結果、自国の「国家主権とは何か」が分からなくなってしまった。加えて深刻なのは、近年における米軍の(核兵器を除く)戦力低下である。
とくに「海軍の弱体化」は甚だしい。中国の海軍力増強を「艦船の数だけ多くても仕方ない」「見かけ倒しの性能」と見くびっているうちに、中国は本当にアメリカに追いついてしまった。
日本周辺で有事が起きた際、米軍が「支援だけ」しかせず、日本を捨て駒にする可能性すらある。今こそ我々は、いかなる国からも中立を保つだけの軍事力をもち、海賊討伐などの国際貢献を果たす永世中立国として自立しなければならない。すなわち 「重武装」永世中立国こそ、日本が目指すべき王道である。
核兵器は使わず、海洋国家の防衛原則に即した装備と態勢を具体的に構築する著者の本気度は、本書のページをめくればお分かりいただけるだろう。
序章 王道へ――「反米」でも「親米」でも「親中」でもなく
第1章 覇道国家アメリカの衰退
第2章 日米同盟離脱と重武装永世中立主義
第3章 日米同盟離脱と非核政策
第4章 永世中立国・日本の国防態勢
目次
序章 王道へ―「反米」でも「親米」でも「親中」でもなく(大アジア主義の伝統的二分法―「覇道国家」と「王道国家」;アメリカの覇権に挑戦し始めた中国、ロシア ほか)
第1章 覇道国家アメリカの衰退(ロシア・ウクライナ戦争に見るアメリカの覇権維持戦略;アメリカは自ら本格的な戦闘に参加しない ほか)
第2章 日米同盟離脱と重武装永世中立主義(その他の方策に対する思考停止状態;王道国家になりうる可能性を秘めた「永世中立国」 ほか)
第3章 日米同盟離脱と非核政策(「核の傘」にすがりつく価値はあるか;日本への第一次核攻撃を思いとどまらせる ほか)
第4章 永世中立国・日本の国防態勢(「日米同盟の強化」という甘えた標語;永世中立国ゆえに必要な軍事力 ほか)
著者等紹介
北村淳[キタムラジュン]
軍事社会学者・米国ワシントン州在住。1958年東京都生まれ。東京学芸大学卒業。警視庁公安部勤務後、89年に渡米。戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学で博士号(政治社会学)を取得。専攻は軍事社会学・海軍戦略論・国家論。海軍の調査・分析など米国で戦略コンサルタントを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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