出版社内容情報
中山 七里[ナカヤマ シチリ]
著・文・その他
内容説明
“県警のアマゾネス”の異名を持つ高頭冴子は、留学生の不審な失踪が相次いでいるという噂を耳にする。その数日後、中国国籍で新疆ウイグル自治区出身の留学生カーリの死体が発見された。冴子と部下の郡山は、事件に中国公安部が絡んでいることを掴むが、冴子に助けを求めていたカーリの同僚・レイハンも容疑者に連れ去られてしまう。彼女を救い、事件の真相を暴くため、中国へと渡った冴子と郡山を待ち受けていたのは、ウイグル民族のあまりにも凄惨な現状だった。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2010年1月デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
333
中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。『逃亡刑事』の高頭冴子シリーズ第二弾、著者の新境地でしょうか、百田尚樹が憑依したような中国ウイグル自治区政策批判刑事小説でした。事件は解決しましたが、どうやって無事に中国を出国するのでしょうか(笑) https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85270-62022/10/12
いつでも母さん
190
アマゾネス・高頭冴子再び。第二弾は「ちょ、待てよ。中国ウイグル自治区行くの?」私の願いも虚しく…逆に公安部に拉致される。嗚呼、第4章からの反吐がでる拷問の描写はドキドキが止まらず悲鳴が聞えるようだった。小説の中だけのことだよねと、中山さん、フィクションだよね。これ‥大丈夫なの?と心配になる。とにかく高頭が生きていてくれて良かった(マジで不死身か!)加害者・趙と被害者・レイハンを日本に連れて帰って来い!民族問題は難しいね。特にあの国で起きている本当の事は知らないに等しいよ‥複雑な読後感。2022/09/22
モルク
162
アマゾネスと呼ばれる千葉県警の刑事冴子。新疆ウイグル人の失踪が相次ぎ管内で死体が発見される。同民族の女性レイハンが中国公安部に狙われていると保護を求めてくるも、彼女は拉致され中国本土へ。冴子も部下の郡山と共に中国へ渡るが彼女も拉致され拷問を受ける。見えてくる中国の闇。ウイグル人への想像以上の仕打ちはナチスドイツほどの凄まじさ。平和ボケ日本人よ、この中国の現実から目を逸らしてはいけない!この問題をこんなにおもしろいエンタメとして描いた中山氏は凄いが中国公安から目をつけられないかな。中国入国はしないほうがいい2022/12/26
しんたろー
156
高頭冴子シリーズ第2弾は、中国ウイグル自治区問題を前面に押し出した骨太な社会派サスペンス。管内で起きたウイグル系中国人の殺人&拉致を追って、中国本土へ乗り込む冴子と部下・郡山に待ち受けていたのは、中国公安部による残虐な迫害、洗脳、拷問の数々…ノンフィクションタッチなので小説であることを忘れて恐ろしくなってしまった。テーマが深刻なだけに目を背けてはいけないと思うが「ここまで書いて大丈夫?中山さん」と余計な心配までしてしまった。冴子がスカッと逆襲するには難しい展開ゆえ、消化不良ぎみではあったが勉強にはなった。2022/11/17
nobby
138
…哀れだ…大国たる故の狂気が哀しい…こんな国家主導の凶行が行われていることが信じ難いと同時に、おそらく現実なのだと受け止めざるを得ない虚しさ…誇り高き選民思想への同化のために強いる民族の消滅、その蛮行への憤りはさることながら、この現代に今なお残る優生思想におぼえる無力感…待っていてくれ、待っていろ、護るべき女性と倒すべき奴等にむけられる〈アマゾネス〉の想いの強靭さが招いた事態の悲愴を際立たせる…生きることや愛国心などほぼ持たず飄々と傍観する自分は、のほほんと弱小ではない自国で暮らせることに安堵するばかり…2022/11/13
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- 和書
- 沈黙の神々 〈2〉