出版社内容情報
アンパンマンに思いを込めてメッセージを送り続けた著者が、人の優しさ、心の痛み、生き方を綴った心温まるエッセイ集。
目次
第1章 ボクと、正義と、アンパンマン(アンパンマンを探せ!;アンパンマンに思いをこめて… ほか)
第2章 子どもは先生(そういう人に私はなりたい;赤ちゃんは天使 ほか)
第3章 人生はよろこばせごっこ(豊かな自然は人を育てる;手のひらを太陽に ほか)
第4章 女の子・男の子(現代の女性に求める九の反省;花粉アレルギー ほか)
第5章 表紙の取れた本(はじめてであった本;良心的な本 ほか)
著者等紹介
やなせたかし[ヤナセタカシ]
1919年高知県出身。終戦後、三越百貨店宣伝部につとめたのち漫画家として独立。多数の連載漫画を手がける一方、舞台美術、作詞、放送作家など、様々な分野で活躍。1973年、絵本『あんぱんまん』を発表。同年には雑誌『詩とメルヘン』を創刊し、編集長を務める。1988年、テレビアニメ『それいけ!アンパンマン』が放送開始。2013年10月13日、94歳で永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けんとまん1007
95
やなせたかしさんの哲学だと思う。こどもたちを、変に子ども扱いせず、同じ目線で対等に考える。多少、難しいことでも、その根幹を感じ取ってくれるし、変な遠慮などなく判断してくれる。そして、こころ、精神の在り様を大事にする姿勢。初版が書かれて20年以上経過しているにも関わらず、今の時代に当てはまることが辛い。それだけ、世の中の在り方が変わらないどころか、憂うべき部分が濃くなっているのだ。アンパンマンのマーチ、よく味わって活かすようにしよう!2022/03/17
sayuri
72
やなせさんの温かい人柄が行間から滲み出て来るようなエッセイ集。2013年に94歳で永眠されたやなせさん。本作は、1995年に『もうひとつのアンパンマン物語』と題して刊行されたものを新装復刊した作品。優しいお顔が目に浮かんで来る前書きの後には「アンパンマンのマーチ」の歌詞が掲載されており、改めてこの歌詞の良さを実感する。「手のひらを太陽に」と共にずっと歌い継がれて欲しい楽曲だ。戦争を経験した著者から紡がれる事は胸に響く。『いちばんのよろこびはほかのひとをよろこばせること』読後はやなせさんをもっと好きになる。2022/03/01
へくとぱすかる
61
けっして威張らないで、遅咲きでも自分の仕事に打ち込んだ人柄が、そのまま文章になってあふれてきたようなエッセイ。大上段から振りかぶったような物言いではなく、長年の人生の経験から自然に語られたことばの方が、よほど身に染みる。そしてアンパンマンではないが勇気も与えてくれる。初版からほぼ30年後の新装復活らしいが、今こそ読まれる価値がある本だと思う。若い人に迎合できなくても、「古いおじいさん」としての作品を生みながら、世の中に受け入れられるというのはよほどのことで、やなせさんの個性だからこそ可能だったのだろう。2025/05/06
智湖@ベルばら同盟副会長
44
「正義の味方はカッコよくない。傷つくことを覚悟する。」「いちばんの喜びは、他の人を喜ばせること。」2022/08/01
がらくたどん
43
復刊待ってた本。こちらでお知らせ頂いて本屋さんに注文に走りました♪まとまったテーマのエッセイというよりは雑記集。昔の詩集に挟まってたリーフレットとか『詩とメルヘン』の編集後記とかでも、チョコチョコと読み手に語り掛けてくれたヤナセさん。とにかくマメに「一緒に楽しもう」を発信し続けた方だなとしみじみ思う。巻頭の「アンパンマンマーチ」は圧巻。子どもから大人まで、その年齢なりの愛と勇気が湧いてくる。山梨シルクセンターが出した詩集が本棚にある。「少年倶楽部」体質のまま成人した大正生まれの伯母からのプレゼントだった。2022/03/23