出版社内容情報
内容説明
脆くて、同じものは一つもない。人生はまるで、ガラスみたいだ―。みんなと同じ行動がとれず、他人から疎まれてしまいがちな兄の道。落ちこぼれでも優等生でもなく、なんでも平均的にこなせるけれど、「特別ななにか」が見つからない妹の羽衣子。祖父の遺言をきっかけに、ともにガラス工房を引き継ぐことになった、相容れない二人の絆の行方とは―。大阪・空堀商店街にあるガラス工房で兄妹が過ごした、愛おしい10年間を描く感動の物語。
著者等紹介
寺地はるな[テラチハルナ]
1977年、佐賀県生まれ。2014年、『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2020年、『夜が暗いとはかぎらない』が第33回山本周五郎賞候補作に。令和2年度「咲くやこの花賞」(文芸その他部門)受賞。2021年、『水を縫う』が第42回吉川英治文学新人賞候補作にノミネートされ、第9回河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
633
寺地 はるな、3作目です。王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので読みました。ガラス工房を巡る兄妹の物語、タイトルもガラスの骨壺に纏わるエピソードも秀逸、感動作です。本屋大賞にもノミネートされそうな作品です。 https://matome.readingkbird.com/entry/2021/09/12/150523 ガラスの骨壺も好いかも知れません。 https://www.miraisoso.net/products/list.php?category_id=1612021/10/23
さてさて
587
祖父の遺した『ガラス工房』で、作品の制作に向き合っていく兄と妹の姿が描かれるこの作品。『竿そのものが重いし、炉の熱で化粧なんかすぐに流れ落ちてしまう』という過酷な現場の中で、『熱いガラスは生きものだ』と、『ガラス』に向き合う兄と妹。寺地さんならではの美しい表現と印象深い言葉に魅せられるこの作品。『ガラス工房』の職人の”お仕事小説”の側面も感じさせるこの作品。“才能が あってもなくてもわたしたちは一歩ずつ進んでいくしかないのです”と、寺地さんが手書きで記された本の帯の言葉が心に染み渡る素晴らしい作品でした。2022/10/24
tetsubun1000mg
471
「みちづれは..」を読んで以来、寺地さんの本を選ぶようになった。今回は「雨夜の星たち」のような発達障害の兄とその妹を主役にしている。 周囲の人に合わせることができない兄を嫌っていたのだが、二人でガラス工房の仕事をすることになってしまう。 自分より兄のほうがお客の気持ちに寄り添って、希望する作品を作ることができるのに気が付く。 今作はめずらしく妹、兄と交互の視線で描いてるのもTVドラマのようで面白い。 地味なテーマで展開も控えめだが、寺地はるなさんの作品では好み。 TVドラマか映画化されそうな気がする。2021/10/31
kotetsupatapata
424
星★★★★☆ 寺地さんの作品の普遍的なテーマである、「貴方は貴方らしく」や「多様性を認める社会」が散りばめられた作品。 兄妹という濃厚な間柄だからこその愛憎や葛藤が滲みでていて、途中苦しくなる描写もありましたが、ラスト道も葉山さんと手を取り、明日に生きていくことが出来るのでしょうか? 理解できないからと、突き放したり相手にしないのではなく、お互い理解できるよう、歩み寄れるよう努力する必要性を突き付けられました。 しかし周りに道みたいな人物がいたら、確かに関わらないよう距離を置いてしまうかな?2021/12/13
うっちー
418
家族関係、発達障害、人間の一生等々考えさせられる小説でした2021/11/16