出版社内容情報
ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者が描く、慟哭のミステリー
書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。
出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、著者渾身の長編小説。
内容説明
14年前の殺人犯が出した告白本。そこに記された「嘘」と「秘密」とは…。ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者による、書店員を主人公とした、「良心の重み」を問う慟哭のミステリー。
著者等紹介
碧野圭[アオノケイ]
愛知県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。フリーライター、出版社勤務を経て、2006年、『辞めない理由』で作家デビュー。書店や出版社など本に関わる仕事をする人たちのおすすめ本を集めて行われる夏の文庫フェア「ナツヨム2012」で、『書店ガール』が1位に。2014年、『書店ガール3』で静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
219
ん…ん「本を読者をなめるな」と「言わない事が罰」この二つの言葉が本を閉じた後も脳内に浮遊して落ち着かない。私の気持ちをざらつかせる読後感だった。17年前の猟奇殺人事件の犯人が出した告発本を巡って、その同級生で隣人だった書店員・正和の身に降りかかる諸々。引きこもりの弟と母親に持ってかれた結末。蓋をしてきた記憶が甦り気持ちが揺れる正和をして、私自身何気なく発した過去の言葉に責任が持てるのか?と不安になった。2021/03/07
たか
199
17年前の女子中学生殺人事件の犯人が書いた告白本が入荷した。書店員の椎野正和は当時中学3年生で被害者は同級生だった、そしてその犯人もまた同級生の幼なじみだった。正和も共犯と疑われ家族共々マスコミの餌食となり誹謗中傷され心に傷を負う。そんな告白本の違和感に正和は気が付き調べていく。 犯人に近い友人と書店員としての立場で告白本に接する葛藤に共感し悲しく悔しい。 罪に対する罰と贖罪の意味、正義とはなんなのか?良いと悪いの狭間で揺れ動く。 既視感のある事件、二つの罪を考えさせられるミステリー。 ★★★★★ 5.02021/05/11
松本ぼんぼん
160
何かおどろおどろしくて、主人公と同じように読んでいて胃がむかむかする感じでした。話しは、主人公椎野正和が中学時代に体験した凄惨な殺人事件が17年の時を経て事件の真実が証されるというもの。読み終わってプロローグがわかりました。2021/04/08
とん大西
150
…これってレビュー難しい。世間を震撼させた少年による猟奇殺人事件。17年後、犯人の告白本が再び世間の耳目を集める。ざらつきざわつく当時の関係者。東京の書店で働く正和もその一人。傷つき、翻弄され、壊れた。故郷を離れたのに、目を背け生きてきたのに、未だ息づく忌まわしい過去。蘇る真相とは…。物語としては面白く読めました。良心、罪…問いかけるメッセージの重みもわかります。ただあの事件をベースにするのは賛否別れるよね。他の構成要素もアク抜きがやや足りない感じ。ラストの畳み掛けは圧巻なんやけどね。やっぱ難しいです。2021/04/11
hiro
149
この題名で『書店ガール』の碧野さんの作品ということで、書店員が登場するミステリかと思って読みだしたが、実際の事件を思い出す内容で、登場する告白本は決して読もうと思わないあの告白本のことを思い出す。窪美澄さんの『さよなら、ニルヴァーナ』を読んだときと同じく、この告白本もただただ不快感でしかなかった。しかし、この作品はどのような結末なのかが気になり、後半は一気に読んでいた。その結末は予想もしていなかったものだったが、この結末で本当に良かったのかは考えさせられる。ヘイト本や告白本に対する書店員の悩みはみえた。2021/06/13