出版社内容情報
飛騨白川郷に織田信長ら、天下の列強が迫り来る。若き天才軍師は山間の平穏な別天地を守りきれるのか。今明かされるもう一つの戦国史。
内容説明
けがれなき飛騨白川郷をこの手で守るために―。戦国武将が喉から手が出るほど欲しいもの…金銀と、鉄炮火薬に欠かせない塩硝。それらは天離る地で豊富に産するという。天下の覇者へと邁進する織田信長に送り込まれたのは、津田七龍太。天才軍師・竹中半兵衛の愛弟子だ。白川郷では、七龍太の出生に関わる思いがけない出逢いが待っていた。
著者等紹介
宮本昌孝[ミヤモトマサタカ]
1955年、静岡県浜松市生まれ。日本大学芸術学部卒業後、手塚プロダクション勤務を経て執筆活動に入る。95年、『剣豪将軍義輝』で一躍脚光を浴び、以後、歴史時代小説作家として第一線で活躍。2005年、『乱丸』にて、第四回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiace9000
134
時代は、破竹の進軍を続ける信長と蓮如率いる門徒衆が争いを繰り広げ、その余波が各地に波及していくいわば歴史小説の王道期。既に語り尽くされたかに思われたこの時期に、天離り果つる国と呼ばれた白川郷帰雲城をフィーチャー。そこに七龍太、氏理、紗雪ら幾多の魅力溢れる人物たちを散りばめ、葉室麟に比肩する美しくも力強い和文筆致で描く。新たな発見と学び、静謐と躍動の絶妙の塩梅ー歴史小説の魅力も満載。武門と宗門の確執、抗うことを許されず翻弄される運命に、天空の城の人々はいかに戦い挑み生きたのか。時代は新たな局面と共に下巻へ!2023/07/01
ポチ
56
織田信長と本願寺の戦いでは世間から隔離されたような天離りの地でも巻き込まれてしまいむすよね。ほっといてくれと言ってもそうもいかず…。そんな中、七龍太には皆んなが助けられるけど、紗雪とはどうなるのか?読み易く下巻が楽しみ。感想になっていない^^;2020/11/14
yutaro13
48
戦国大名小説を西から適当に読む企画。三好長慶の次は松永と思っていたが、美しいタイトルと装丁に惹かれて飛騨へ脱線。飛騨とはいっても姉小路(三木)氏ではなく白川郷の内ヶ島氏。今でもそれなりに秘境の地だが、当時は今の比ではなかっただろう。そんな鄙びた地も争乱に巻き込まれるのが戦国時代。織田から白川郷に派遣された文武に優れた美男子、白川郷当主の男勝りの姫、悪逆非道な本願寺坊官など型にハマったような人物造形も良し。内ヶ島氏といえば大地震で帰雲城ごと一夜にして滅亡したことで有名だが、その悲劇はいかに描かれるのか。2021/02/21
reo
41
白川郷に実在し一夜にして地震で消失したといわれる帰雲城。城主内ケ島氏理の娘紗雪、氏理の正室茶之と娘紗雪の確執。そしてその白川郷一帯で産出する金銀と、戦国の世では金銀に勝るとも劣らない塩硝を秘密裡で作成する合掌集落の謎。それらを架空の主人公津田七龍太と、信長・秀吉の戦国後期の史実とを巧みに絡ませながら物語ってゆく痛快時代小説。垣根涼介の『室町無頼』とか柴田錬三郎の一連の作品が好きな人なら嵌ること請け合います。2022/04/23
kawa
37
新聞書評が絶賛で手に取る。それを忘れていて、序盤は「かったるい」だったのだが、ストーリーが進むに連れて著者の術中にハマる趣き。舞台は戦国の世、雛の地ながら、金山と鉄砲火薬の原料の焔硝を生産する白川郷、そしてそこに縁ある津田七籠太(架空の人物か?)が主人公。盛り上がり所多数のエンタメ展開に脱帽なのですが、私的には信長の姪「茶々」と、これからどのような丁々発止が…。 気になる展開の下巻、運よく本日手元に。2020/12/04