出版社内容情報
幕末の薩摩藩において西郷隆盛や大久保利通などとともに明治維新に大きな役割を果たした五代友厚。明治の世では、危機的状況にあった大阪経済を立て直すために現在の大阪商工会議所のもととなる大阪商法会議所を設立し、また現在の大阪市立大学の淵源となる大阪商業講習所を設立するなど、多大な功績を残した。
しかし、晩年の「北海道開拓使官有物払い下げ事件」によって、藩閥政権との癒着による「政商」としてイメージが広まってしまった。
ところが、官有物の払い下げは五代とは別の結社にされようとしていたことや、当時の政局の中で五代がスケープ・ゴートにされたこと、また当時の新聞の誤報を後世の歴史学者がそのまま論文にして定着させたことなどがわかってきており、事実が誤って伝えられていることが明らかになってきている。
本書は、膨大な資料を丹念に調べあげた上で新たな考察を加え、五代の真の姿を描き出す伝記の決定版として発刊する。
内容説明
「北海道開拓使官有物払い下げ事件」の誤伝を正し、真実の五代友厚像を明らかに。壮大なビジョンと利他の精神で新時代を開いた生涯を辿る。
目次
第1部 幕末立志編(五代才助の幼少年期と「新訂万国全図」模写;長崎海軍伝習所;長崎遊学と薩英戦争;五代上申書と薩摩藩英国留学生;幕末から明治維新へ)
第2部 明治壮図編(堺事件;新政府出仕;「惣難獣」と辞官;五代の事業開始―金銀分析所等;政局;弘成館・朝陽館・日本製銅会社;大阪商法会議所・大阪商業講習所地―交易への道;北海道開拓使官有物払い下げ事件)
仮令失敗、或いは産を空くするも
著者等紹介
八木孝昌[ヤギタカマサ]
昭和16年(1941)京都市生まれ。岐阜の郡部へ一家疎開。真桑村立真桑小学校、真正町立真正中学校、岐阜県立本巣高等学校を経て、大阪市立大学経済学部卒業。博士(文学)。大阪市立大学生活協同組合専務理事、大学コンソーシアム大阪事務局長、学校法人帝塚山学院常務理事を歴任。現在、一般財団法人大阪教育文化振興財団評議員、一般財団法人住吉村常盤会評議員、帝塚山学院大学生涯学習センター講師、帝塚山派文学学会運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。