出版社内容情報
織田信長、狩野永徳にその才能を見出された宗達は、天正遣欧少年使節とともにヨーロッパへ。そこで出会ったもう一人の天才画家とは。
内容説明
謎多き琳派の祖・俵屋宗達×バロックの巨匠・カラヴァッジョ―雷神と風神が結んだ縁がここに完結。圧倒的スケールで描かれる歴史アート小説!
著者等紹介
原田マハ[ハラダマハ]
1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森美術館設立準備室在籍時に、ニューヨーク近代美術館に派遣され勤務ののち独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、作家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、17年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞、18年『異邦人』で第6回京都本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
571
上・下巻、700頁弱、一気読みしました。本書は、歴史アートファンタジー青春冒険譚、奇跡の物語でした。俵屋 宗達×織田 信長×天正遣欧少年使節×カラヴァッジョ、いずれも『嵐を呼ぶ男』です。著者は、『楽園のカンヴァス』、『ジヴェルニーの食卓』、『暗幕のゲルニカ』、『美しき愚かものたちのタブロー』と4度直木賞候補となっていますが、本書で直木賞受賞で良いかも知れません。PHP研究所出版だから、厳しいかな? http://prizesworld.com/naoki/kogun/kogun147HM.htm2019/12/09
パトラッシュ
497
(承前)下巻でも快調に読ませる筆は見事だが、最後まで一人の悪人も登場しなかった。日本人奴隷を売っていた商人も、日本の植民地化を図るスペインとポルトガルの政策に同調していた宣教師も、植民地で現地住民を支配する官僚も、同性愛者の巣窟であるカトリック教会の実態も。ひたすら少年使節がキリストと神の栄光にうたれ、宗達が偉大な西洋芸術に感嘆する姿のみが描かれる。「美術小説」を追求した著者は、歴史小説を書く意図はなかったようだ。光あるところには影があり、美の裏には醜がある事実から故意に目をそむけて成立した作品と思えた。2021/03/25
ウッディ
452
イタリアに着き、ローマ教皇と謁見し、携えた絵を献上した宗達と遣欧使節団の少年たち。苦難を乗り越え、絆を強める友情に胸が熱くなります。ミラノの教会にあるダ・ヴィンチの絵の前で一人の見習い画家カラバッジョと出会い、一流の絵師になることを誓い合い、ユピテル・アイオロスの絵を交換する。このぶっ飛んだ物語が、エピローグで一人のキュレーターの空想になっているのが微笑ましい。ただ、その後宗達が風神雷神の絵を描き、マカオで見つけた古文書の秘話なども書いてほしかったかな。とはいえ、絵画から広がる妄想物語は面白かったです。2020/08/29
bunmei
452
エピローグの「美術は歴史の大河が過去から現代へと運んでくれたタイムカプセル」の如く、400年の時を遡り、自分も宗達等と共に天正遣欧使節団の一員となって、ローマ教皇謁見と西洋名画を巡る旅に出かけた感覚でした。決して巡り会うことのない宗達とカラヴァッジョの友情物語。『最後の晩餐』や『最後の審判』等に出会った時の宗達の驚嘆と感動。小説家・原田マハだからこそ描きあげることができた、妄想とも思える本作に打ちのめされました。最初、期待した琳派の物語ではなかったですが、良い意味で期待を裏切ってくれた、荘厳な小説でした。2019/12/20
うっちー
448
『最後の晩餐』をもう一度見たくなりました。2019/11/20