出版社内容情報
古来、日本人のアイデンティティとは、譲り合う姿勢と自然への畏敬の念。いまその価値観が変容しつつある。渾身のデビュー論考。
内容説明
日本人のアイデンティティ、本来の気質とは何か。それは、日本の神話である『古事記』が示す「和の国」の姿ではないだろうか。神話と聞くと「非科学的なファンタジー」だと思われる方もいるかもしれない。しかし、現代の文化人類学や世界神話学に基づけば神話は人類普遍の理知を秘めていると考えられ、同時に、神話は「民族のアイデンティティを凝結した物語」だと見なすことができる。日本人の場合、『古事記』の記述やその成立過程そのものから、二項対立を避ける民族であることが見出せる。だが現在、民族を象徴する二つの「和の伝統」が失われつつある。現代日本は本当に「和の国」といえるのか、今こそ問い直す。
目次
第1章 日本人のアイデンティティとは何か(民族について意識せざるを得なくなった、とある事件;「個人の人権」の限界 ほか)
第2章 神話が示す、民族のアイデンティティ(神話は何を伝えているのか;無意識の世界が神話に表れている? ほか)
第3章 「和の国」のルーツを『古事記』から探る(日本の神話と似た神話;『古事記』はどこまで神話か ほか)
第4章 同調圧力はいかにして生まれるか(日本は「和の国」ではなく「同調圧力」の国か;「空気」の圧力とはどのように生まれるのか ほか)
第5章 『古事記』の和と現代日本人の和(なぜ『古事記』に月読命は一度しか登場しないのか;トリックスターと中空構造 ほか)
著者等紹介
吉木誉絵[ヨシキノリエ]
1986年生まれ。高校時代、アメリカ・ノースダコタ州に留学。隣の州で起こった先住民族の少年の銃乱射事件がきっかけとなり、民族のアイデンティティについて考察を深める。その過程で『古事記』を研究し、さらに2011年に神職の資格(直階)を取得。テンプル大学(ジャパンキャンパス)卒業後、慶應義塾大学大学院法学研究科専攻修士課程修了。日本の憲法について研究を行う。大学院修了後から、コメンテーターとしてテレビなどのメディアに出演。2018年より現在、特定非営利活動法人外交政策センター研究員。『日本は本当に「和の国」か』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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