出版社内容情報
夫を殺された復讐のため、妻は顔と身分を変え、憎い男の妻になった……。彼女の復讐に身を焦がす灼熱の日々を描く、慟哭のミステリー。
内容説明
医者である英雄と一見、幸せな結婚生活を送る絵里。しかし彼女の本当の名前は咲花子といい、英雄が元夫を殺した証拠を探していた…。一年半前、咲花子は刑事から当時の夫が転落死したこと、何件もの詐欺を働いていたことを知らされる。詐欺師の妻として彼女自身もマスコミに叩かれる中、夫殺しの容疑者だった英雄の不起訴が確定。希望を失った彼女は、自殺サイトで知り合った絵里という女性と自殺を試みるのだが…。
著者等紹介
秋吉理香子[アキヨシリカコ]
早稲田大学第一文学部卒。ロヨラ・メリマウント大学院にて、映画・TV製作修士号取得。2008年、「雪の花」で第3回Yahoo!JAPAN文学賞を受賞。09年、受賞作を含む短編集『雪の花』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
425
秋吉 理香子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。良い意味で予想を裏切る展開、イヤミス度は低いですが、上質のミステリです。2019/08/09
ウッディ
317
愛する夫を殺した犯人の証拠を掴む為、顔を整形し、名前を絵里と変え、医師英雄の妻となった咲花子。夫の優しさに触れ、穏やかな幸せに包まれ本当の目的を忘れそうになる咲花子の心の動き、夫が本当の自分の事を知られているのではないかという恐怖、そして最後に明らかになる真相など、よく練られたストーリーでした。心臓病の妹亜希子の豹変が多少違和感はあったものの、途中の伏線に気づかせずに、意外な真実に持って行った筆力は見事でした。色んな要素が詰め込まれたサスペンスで面白かったです。2019/11/24
茜
303
完全にタイトル負けしていると思いました。憎い男の妻となったのならもっと葛藤やドロドロとした気持ちが表現されているのかと思ったけれど割とあっさりしていて拍子抜けしてしまった。自分の期待が高過ぎたのかもしれない。でも、逆に葛藤とかが表にでてしまうと夫にバレてしまうのかな?とも考えました。もう少し主人公の内面の葛藤を描いて欲しかった。現実だったら憎い男の妻になるなんて考えられないですから。。。2019/10/24
うっちー
217
秋吉さんらしい作品の中でもピカ1でした2019/10/17
おしゃべりメガネ
201
さすが秋吉さんの作品で、とにかく先の展開が気になりすぎてアッという間にイッキ読みです。一見、何の弊害もなく幸せそうな「英雄」と「絵里」の夫婦ですが、実は「絵里」の本当の正体は「咲花子」であり、「咲花子」の夫を殺したのは「英雄」との疑いが。誰と誰が繋がって、本当に誰もが怪しく、真実を知り、語るコトができのは誰なのか、どんどん頁を捲ってしまいます。流れの中では正直、そんなにウマくいくかなぁと思わざるトコもありますが、それらを差し引いてもグイグイと引き付ける秋吉さんの筆力はある意味、圧倒的に凄まじかったです。2019/08/17