目次
歴史学の限界と「戦略」で分析する意義
「平治の乱」―完璧な合戦
平家都落ちに見る戦略的成功―撤退の意義
「一ノ谷合戦」「屋島合戦」と「桶狭間合戦」―迂回と奇襲
「元寇」に見る兵の質の限界、「千早攻め」ほかとの対比―強兵と弱兵
建武の新政と鎌倉幕府―革命戦略と新国軍の建設
北畠顕家の遠征と信玄の棒道ほかとの対比―兵站の課題
小田原城の攻防と各種城攻め籠城との対比―籠城と攻城
「三増峠合戦」と「川中島合戦」―『孫子』対『孫子』
信長の上洛戦と信玄の上洛戦ほかとの対比―間接的アプローチと直接的アプローチ
「沖田畷合戦」対「長篠合戦」「雑賀攻め」ほか―新兵器への幻想
長宗我部元親の四国統一と信長、信玄の軍事組織との対比―「市民軍」対「職業軍人」
「賎ヶ岳合戦」対「箱根竹下合戦」ほか―内線と外線
著者等紹介
海上知明[ウナカミトモアキ]
NPO法人孫子経営塾理事・昭和12年学会理事。中央大学経済学部卒業後、企業に勤務しながら大学院に入る。平成14(2002)年3月、博士(経済学)。日本経済大学教授を経て現職。東京海洋大学・芝浦工業大学講師を務める。戦略研究学会古戦史研究部会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
マネコ
4
戦国時代の話は資料によって振れ幅が大きいため定説とよばれているものにも穴がありますが、最新の研究という言葉をうのみにするのもまた短慮だと思われます。この本も面白かったですが、ポジショントークとみられることが多く評価が難しいです。2019/09/23
せいや
3
日本の古代からの合戦を「戦略」という概念を交えて分析している。戦略が誤りでも勝った戦争もあるし、逆に正しくても負けた戦争もある。現在でも戦術家として名高い源義経は愚将と筆誅を加えている一方で、平治の乱を勝ち抜いた平清盛は完璧な合戦であったと評価しているのが興味深かった。様々な合戦を東西の戦術家・孫子やクラウゼヴィッツなどを参照しつつ分析しており、日本の合戦史を多角的に知ることができる一冊。2019/08/13
cocolate
2
ロジスティックスと海軍がおもしろい。2019/12/15
H2O_HoriHori
2
以前から言われていた正しい戦術が実は正しくもなんともなかったという話。 国民軍=農民軍の強さの証は共同体意識から、という下を見ると「会社は家族同然」みたいに思って働いていた昔の日本人の士気の高さの理由がわかった気がする。 そういうような学びのある本だった。2019/07/06
uburoi
1
戦略の書としては「孫子」が最高位にある。信長は革命家としては非凡だったが、戦略家としては平凡であった。武田信玄こそ「孫子」の戦いを貫いた武将だった。それだけに時間をかけ過ぎた。上洛にも間に合わず。壇ノ浦まで平氏を追いつめて全滅させた義経は天下の愚将というわけで鼻もひっかけられない。なんとも痛快な本であるよ。2025/05/23