出版社内容情報
日本を代表するホテルを! 世界的建築家フランク・ロイド・ライトによる帝国ホテル本館建設を巡る、男たちの闘いを描いた長編小説。
内容説明
1923年(大正12年)に完成した帝国ホテル2代目本館、通称「ライト館」。「東洋の宝石」と称えられたこの建物を手掛けたのは、20世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトだった。世界へと開かれた日本において、迎賓館の役割を果たしていた帝国ホテル。そのさらなる進歩を目指す大倉喜八郎と渋沢栄一が、明治末期、アメリカで古美術商として働いていた林愛作を帝国ホテル支配人として招聘したことから、このプロジェクトは始まった。しかし、ライト館完成までの道のりは、想像を絶する困難なものだった―。ライト館の建築にかけた男たちの熱い闘いを描いた、著者渾身の長編小説。
著者等紹介
植松三十里[ウエマツミドリ]
静岡市出身。東京女子大学史学科卒業。出版社勤務、7年間の在米生活、建築都市デザイン事務所勤務などを経て、作家に。2003年に『桑港にて』で歴史文学賞、09年に『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』(文庫化時に『命の版木』と改題)で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
216
帝国ホテルに関しては、仕事絡みで多少縁があるので読みました。植松 三十里、初読です。帝国ホテルライト館の建設に纏わる人々の熱量が半端ない激熱の物語でした。近い将来建て替わる帝国ホテルの設計は、どの建築家になるのでしょうか?私は、東京の老舗の高級ホテルの中では、帝国ホテルを一番評価しています。2019/07/22
ゆみねこ
109
社会人2年目に明治村に行って、帝国ホテルライト館の玄関の外側を見た記憶があります。その頃にこういう歴史を知っていたらどんなに感動出来たでしょうか?明治から大正という時代に建築家ライトの飽くなきこだわりと、その要求に必死に応えた職人たちの技術。経営陣とのやり取りなど面白く読了しました。2019/08/07
あすなろ
101
帝国ホテルライト館という巨人を建てた物語と様式保存を行った明治村での物語。僕は明治村で迎えてくれる帝国ホテルが幼い頃から好きだ。最後に行ったのは10年弱前か。そのライト館にこれだけの物語があるとは全く知らなかった。植松氏の筆と共に夢中になって読了したのである。そして火災・数度の大震災と歴史。勿論設計者のライトがあってこそのことではあるのであるが、それが霞む程の想いが統合昇華されて巨人と称される。完成時エピソード等、感涙まで誘われた物語。2020/02/02
夜長月🌙@読書会10周年
78
帝国ホテルといえば、すぐ設計者のフランク・ロイド・ライトの名が思い浮かびます。しかし、その影に支配人、設計助手、職工などの奮闘がありました。また、厳密すぎるライトに反発も何度も起こりました。そうした中で何年もかけていよいよオープンニングパーティーの日が大正12年9月1日。そう、関東大震災のその日だったのです。作られたドラマのような展開でした。このホテルの数奇な運命について最後に明治村へ落ち着くまでが描かれています。2024/03/30
trazom
74
帝国ホテルの建築に関わる事情は有名だが、この作品は、史実を踏まえ、登場人物に息吹が吹き込まれていて面白く読める。フランク・ロイド・ライトの凄さと限界、タイル作りに奔走した伊奈長三郎・牧口銀司郎、投資家であり施工者の大倉喜八郎の苦悩、後に独立したレーモンド夫妻などの活躍が、現代まで繋がっている。予算130万円のライト館の総工費は900万円。経済性で測れない多くの人たちの思いが籠っている。この物語の主人公は、林愛作と遠藤新。愛すべき二人の名誉のために、最後に旧甲子園ホテルのことを書いてほしかったなあと思う。2019/08/29
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