PHP新書<br> 和辻哲郎と昭和の悲劇―伝統精神の破壊に立ちはだかった知の巨人

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和辻哲郎と昭和の悲劇―伝統精神の破壊に立ちはだかった知の巨人

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  • サイズ 新書判/ページ数 333p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569837048
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0210

出版社内容情報

戦争、敗北、占領という激動期、見苦しく変節した知識人が多かった中で、自らが掴み取った日本の本質を世に問い続けた知の巨人の真価。

内容説明

敗戦後、占領政策によって日本の伝統精神は崩壊の危機に瀕した。さらにいえば、戦前から戦争に至る流れの中で、日本人自らが、伝統を見失いつつあった。そんな中、鈴木大拙、津田左右吉、折口信夫、近衞文麿など大正教養派の多くの人々は時流に流され、変節していった。しかし、伝統衰退の世相に立ち向かい、節を貫き通した知識人もいた。その代表格こそ、和辻哲郎である。なぜ和辻は、激動の中で「不動の指標」たりえたのか。危機の時代に、日本人はいかに日本の伝統精神を取り戻すべきかを、知の巨人・和辻哲郎を通して知る。

目次

序章 なぜ今和辻を顧みるのか(敗戦後も自らの立場を貫き通した、誇り高き知識人たち;思想界激動期の不動の指標としての和辻哲郎 ほか)
第1章 問題の発端―敗戦と被占領(心理戦争の開始;勝者への迎合と卑屈 ほか)
第2章 再検討・大正教養派(大正デモクラシーの実体;現象化の発端・乃木夫妻殉死事件 ほか)
第3章 国政に表面化する伝統の断絶(統帥権干犯問題の虚妄;五・一五事件・民意の倒錯 ほか)
第4章 伝統破壊工作への和辻の抵抗(国体変更論をめぐって;民族学・古代史学の分野で ほか)

著者等紹介

小堀桂一郎[コボリケイイチロウ]
1933年、東京生まれ。1958年、東京大学文学部独文科卒業。1961~63年、旧西ドイツ・フランクフルト市ゲーテ大学に留学。1968年、東京大学大学大学院博士課程修了、文学博士学位取得。東京大学助教授、同教授、明星大学教授を歴任。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

軍縮地球市民shinshin

14
本書はもともと『伝統の興廃』(仮題)といった題で単行本としてまとめる予定であったが、出版社から2分冊にして新書に出すことを勧められてそうなったという。本書は2分冊の後半でこちらが先に出た。大正教養派と呼ばれた知識人は戦後、GHQに迎合して戦時中の日本を批判する側に回り、そしてアジア諸国に「謝罪」することを潔しとした。それに大正教養派の知識人のひとりである哲学者和辻哲郎は違和感を覚え、「戦後」という風潮を批判することになる。著者が和辻の言説を手際よくまとめている。好著。2020/11/04

田中峰和

6
多くの大正教養派が戦後不甲斐なくGHQに迎合し、言説を曲げたのはなぜか。日本語をやめてフランス語を国語にしようと言い出した志賀直哉のような者もいた。権力による言論弾圧と情報操作に対して、変節しなかった言論人として和辻哲郎が挙げられる。本書では当時の言論人の言説を網羅しつつ、和辻の硬骨漢ぶりを紹介する。ニーチェ研究から出発した和辻は、西洋文明を学ぶ意義は偉大な西洋文明を吸収しつくした後、初めて真に高貴な日本的がそのうちに現れるとしている。米国の宣伝目的で書かれた「菊と刀」に学問的価値はないと喝破した。2018/02/28

残心

1
〈偉大な西洋文明を真髄まで吸収しつくした後に、初めて真に高貴な日本的がその内に現れるのではないだろうか〉「停戦とは日本の軍隊の組織的抵抗が終ったことだけを意味し、米軍を主体とする占領軍の情報戦による追撃は二十年九月を以て本格的に始まっている」「鈴木大拙の過大な挫折感の表白は、所詮彼が国際政治の歴史にあまりにも学が浅かったところから来ている」「天皇の存在こそ、実は人民主権論の結果として生じた、国民の総意の表現ではないか」「国民の総意の表現として存在する天皇の地位は、将来もまた、総意の表現であるゆえに不動」2018/02/08

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