出版社内容情報
戦争、敗北、占領という激動期、見苦しく変節した知識人が多かった中で、自らが掴み取った日本の本質を世に問い続けた知の巨人の真価。
内容説明
敗戦後、占領政策によって日本の伝統精神は崩壊の危機に瀕した。さらにいえば、戦前から戦争に至る流れの中で、日本人自らが、伝統を見失いつつあった。そんな中、鈴木大拙、津田左右吉、折口信夫、近衞文麿など大正教養派の多くの人々は時流に流され、変節していった。しかし、伝統衰退の世相に立ち向かい、節を貫き通した知識人もいた。その代表格こそ、和辻哲郎である。なぜ和辻は、激動の中で「不動の指標」たりえたのか。危機の時代に、日本人はいかに日本の伝統精神を取り戻すべきかを、知の巨人・和辻哲郎を通して知る。
目次
序章 なぜ今和辻を顧みるのか(敗戦後も自らの立場を貫き通した、誇り高き知識人たち;思想界激動期の不動の指標としての和辻哲郎 ほか)
第1章 問題の発端―敗戦と被占領(心理戦争の開始;勝者への迎合と卑屈 ほか)
第2章 再検討・大正教養派(大正デモクラシーの実体;現象化の発端・乃木夫妻殉死事件 ほか)
第3章 国政に表面化する伝統の断絶(統帥権干犯問題の虚妄;五・一五事件・民意の倒錯 ほか)
第4章 伝統破壊工作への和辻の抵抗(国体変更論をめぐって;民族学・古代史学の分野で ほか)
著者等紹介
小堀桂一郎[コボリケイイチロウ]
1933年、東京生まれ。1958年、東京大学文学部独文科卒業。1961~63年、旧西ドイツ・フランクフルト市ゲーテ大学に留学。1968年、東京大学大学大学院博士課程修了、文学博士学位取得。東京大学助教授、同教授、明星大学教授を歴任。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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