PHP新書<br> 従属国家論―日米戦後史の欺瞞

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従属国家論―日米戦後史の欺瞞

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  • サイズ 新書判/ページ数 253p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569825397
  • NDC分類 319.105
  • Cコード C0231

出版社内容情報

稀代の思想家が、「戦後」の始まりに何があったのか、「戦後」はどのように生み落されたのかを日米間の非対称な構造から探る。

【著者紹介】
京都大学名誉教授

内容説明

戦後70年間、日本人は2つの大きなディレンマを抱え続けてきた。1つは、民主主義と経済成長を至上命題とするアメリカ的価値観と伝統的な日本的価値観との軋轢。もう1つは、平和憲法を謳いながら日米同盟を結び米軍基地を置く、自己矛盾した「国のかたち」である。本書では、こうした「戦後日本」という特異な空間を読みとくために「日米の非対称的な二重構造」という「補助線」をひく。なぜ保守も革新も、自ら進んでアメリカに追従してきたのか。戦後日本を規定する構造を鮮やかに描き出し、我々が進むべき方向を指し示す。日本を代表する思想家が放つ待望の戦後論!

目次

第1章 漂流する日本人(ニヒリズムの時代;人間中心主義という思い上がり ほか)
第2章 「戦後レジーム」が抱えるふたつのディレンマ(「文明の衝突」に巻き込まれた日本;日本とイスラムの対立は必然 ほか)
第3章 「あの戦争」とは何だったのか(「戦後」はいつから始まったのか;事実の隠蔽によるごまかしの「戦後意識」 ほか)
第4章 憲法を制定するのは誰か(日本国憲法は「違反憲法」である;憲法公布の二重構造 ほか)
第5章 「戦後レジーム」はこうして成立した(ホッブスが示した民主主義の原則;憲法の「平和主義」が胡散臭いわけ ほか)
第6章 「ガラスでできた鏡張りの部屋」の中で(「アメリカによる日本の構造的障害除去プログラム」;再びの「国民総転向」 ほか)
第7章 「ごっこの世界」の中にある日本(アメリカ的価値への無意識の従属;「悪の帝国」と戦う「正義の共和国」 ほか)
第8章 日本を縛る「非対称的な二重構造」(日米関係の質的変化;「日米の価値観の共有」という幻想 ほか)
第9章 「近代日本」という悲劇(高校野球と日本の開国;維新の精神から文明開化へ ほか)

著者等紹介

佐伯啓思[サエキケイシ]
1949年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。滋賀大学経済学部教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを経て、京都大学名誉教授、京都大学こころの未来研究センター特任教授。第4期文部科学省中央教育審議会委員。専攻は社会経済学、社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tamami

56
平成の30年間というもの、日本は低成長に喘ぎ、高度成長期の達成を取り崩しつつ、今や先進国グループからの脱落をも言われている。政治は言うまでも無く、経済さえもアメリカに扈従しつつある。しかし、このような事態を招いた歴史的根源を我々は知らされずに来た。敗戦後は、戦勝国アメリカの歴史観を受け入れ、押しつけられる儘に自らそれを鼓吹することすら厭わなかった。自立する国家として日本が進むべき道は簡単では無い。本書は、そのための第一歩として、我々を就縛している戦後レジームの寄って来たる所を知るための最善の教科書である。2022/12/06

とくけんちょ

45
戦後の日本の繁栄は平和によるものだが、この平和が保てなくなっている。日本は戦争を放棄し、主権の一部を失っている。自国防衛をアメリカに委ねている。しかし、アメリカは当然、覇権国であることに執着し、自国ファーストである。ロシアの侵略で、アメリカの世界での立ち位置が明らかとなった。やっと日本も自国防衛について、考え出した。そう自分の身は自分で守るしかないのよ。本書は、戦後日本の自己矛盾を分かりやすく説明してくれている。2023/02/12

双海(ふたみ)

29
先の大戦が侵略戦争であったとか自衛戦争であったとか、そういうことは私にとって二義的な問題に過ぎないと感じました。まあ、少なくとも・・・今を生きる私は戦争を外側から見ているだけなので、軽々しく断罪するのは慎もうと思うのです。やはり当時の日本人が何を見て、感じて、考えていたのかという点に興味があります。当時の日本人の意識を探りたいのです。2015/05/21

壱萬参仟縁

25
国益:どのような国を構想するのか、という価値選択の上に定義されるべき概念(36頁)。歴史:自由、民主主義、人権、幸福追求の価値が、様々な敵対者との闘争を経て世界化する過程(48頁)。結果ばかりでなく、原因や過程を丁寧に辿る必要を感じる。放射能だだ漏れ、為政者の体たらく などを挙げればなるべくしてなったのかもしれない。平和:秩序乱すものを力で排除する積極的行為で獲得。力で平和を作る(64頁)。この考えに私は少々違和感を抱く。2015/08/01

プレイン

16
日米の価値観は共有されているとよく言われるが、日本が考える価値観は民主主義や人権、法の支配程度であり、決してアメリカが目指すのはそれらを普遍的理念として時には武力で持って世界に広げて行くことである。日本人はそこまでの価値観は決して共有していない。日米同盟強化こそが重要という保守、ただただ戦争反対と叫ぶ革新派。そのいずれもが敗戦後占領時の日本人への罪悪感の植え付け教育を経て今なお戦後70年経っても米国へ無意識のうちに従属している。最後の特攻の話は唐突に思えるが日本の平和、繁栄について考えさせる。2015/11/15

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