出版社内容情報
松陰が獄中で孟子を講義した時の感想や意見を基にして書かれた原本を現代語訳し、その国家観、人生観を通してリーダーのあり方を問う。
【著者紹介】
思想家、教育者
内容説明
日本の黎明を導いた男の「愛と正義」。孟子に学び、孟子に阿らず―松陰の思想に学ぶ日本人の生き方とは?
目次
第1章 逆境で学ぶ
第2章 国体を知る
第3章 日本を守る
第4章 政治を正す
第5章 学問を究める
第6章 教育を語る
第7章 人生を想う
付章 男子の教え・女子の教え
著者等紹介
松浦光修[マツウラミツノブ]
昭和34年、熊本市生まれ。皇學館大学文学部を卒業後、同大学大学院博士課程に学ぶ。現在、皇學館大学文学部教授。博士(神道学)。専門の日本思想史の研究のかたわら、歴史、文学、宗教、教育、社会に関する評論、また随筆など幅広く執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茉莉花
27
吉田松陰、かく語りきですがほとんど孟子の言葉を引用して自分なりの言葉で戒めを述べてるのが斬新ですね。この本を読むと吉田松陰が絶賛する程なんだから孟子の本が読みたくなります。人はとても弱い人間です。欲望や恐怖に駆られて無様な姿を曝け出すことがあります。でも、人が見ていなくてもお天道様が見ている、だから天に恥じぬ生き方を常日頃から意識して行動しなければいけないなと思いました。あとはやはり利益を求めない。現社会では利益最優先という考え方ですが誠の心を優先すればおのずと利益も得るという考え方には納得です。2017/02/18
さきん
19
初めてちゃんとした著書を読めた。どちらかというとソクラテスみたいなタイプで文字で残すというよりも講義して聴衆との関係性ややりとりを大事にした思想家だと思う。思想自体、陽明学、朱子学と比べて独自ということは感じにくい。基本、佐幕な立場で富国強兵ということと、武士階級をそのまま維持という考えで、討幕、四民平等と比べては穏健な思想で意外だった。また、陽明学、朱子学の思想通り、道徳を統治者に求める記述が大半であった。2025/02/18
茉莉花
19
吉田松陰、かく語りきです。歴史上の人物として名前だけは知っていましたが、まさかこんなに立派でこんなに沢山の素晴らしいことを言っていたとは、この本を読むまで全く知らなかったです。今回、今の私にぐっと来た言葉は「理より情を大切にする」です。知性ばかりを尊び、理屈だけでものを言ってたらダメ。人の情の世界では愚かであることが正しいということがある。成る程、こうゆうことを説いていたからこそ松陰先生は人から慕われたのかなと思う。他にも良いこといっぱい言ってますがここでは全部紹介出来ないので是非読んで欲しいと思います!2016/06/05
maito/まいと
16
幕末日本の若者に大きな影響を与えた吉田松陰。彼が残した多くの書籍の中で、その本音がたっぷり詰まっている「講孟余話」の現代語版。教育者として、志士としてその魅力的・極端な行動に注目が集まりがちな松蔭だが、その熱さ、激しさ、誠実さが本を飛び出してきて、胸にぶつかってくるかのような文調は、人生が変わるほどのエネルギーがあった。テニクックやスキルではなく、その心根、その信念こそ、状況を動かすために必要なもの、というメッセージは今こそ腹落ちすべき概念だ。解説も書かれていて、本自体も長くないので読みやすいのも魅力。2020/09/01
isao_key
12
始め『講孟箚記』と題して出版されるが、「箚記」が、あたかも針が衣を縫う如くに文章の意義を明確にするという意味に、松陰がまだ達していないと考え後に改題する。原文は安政2年から3年にかけて、長州の野山獄と杉家幽室で幽囚の身であった時に、囚人、親戚などに孟子の講読をして、自身の考えを加え記したものである。『南洲翁遺訓』『留魂記』と同じく、松浦先生が、できる限り私見をおさえた原文に敬意を払った上での超訳をされている。原文全体の分量の10分の1程度ではあるというもの、松陰を貫いている信念、考え方がよく表されている。2016/01/31