出版社内容情報
強く生きたいと願い、女武者軍団を率いて戦った誾千代姫。夫・立花宗茂、猛将・加藤清正にも一目おかれた凛々しい姫を描く歴史小説。
内容説明
筑前立花城の城督・〓（ぎん）千代姫が婿に迎えたのは、宝満城主・高橋紹運の嫡男・千熊丸。後の立花宗茂である。祝言を挙げ、落ち着く間もなく、筑前・筑後は戦乱のるつぼと化し、〓千代も鉄炮隊を率いて応戦。二人を支えていた〓千代の父・戸次（立花）道雪は戦陣で病没、高橋紹運も討ち死にする。やがて豊臣秀吉の天下から関ヶ原の戦いへと、時代が大きく変わりゆくなか、立花家を預かる〓千代、そして宗茂の運命は…。「噂に違わぬ武者ぶりよ」と猛将・加藤清正にも一目置かれた〓千代姫。鉄炮隊を率いて凛々しく戦った姫の、知られざる一面を活写した時代小説。
著者等紹介
山本兼一［ヤマモトケンイチ］
１９５６年（昭和３１年）、京都市生まれ。同志社大学卒業後、出版社勤務、フリーランスのライターを経て作家になる。２００２年、『戦国秘録 白鷹伝』（祥伝社）で長編デビュー。２００４年、『火天の城』（文藝春秋）で第１１回松本清張賞を受賞。２００９年、『利休にたずねよ』（ＰＨＰ研究所）で第１４０回直木賞を受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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藤枝梅安
58
戦国を生き抜いた武将・立花宗茂の正室・誾千代の半生を描いた意欲作。若い読者でも手に取りやすい装丁。歴史的色合いの濃い記述と誾千代の侍女・みね の口を借りる語りが交互に現れる。「男勝り」な少女が武家の妻として成長していく過程を史実とフィクションを絡めて丹念に追っている。ついに子をなさなかった宗茂・誾千代の戦国における同志的な繋がりと、領民への思いが矛盾なく綴られている。この小説では秀吉は「添え物」ではあるが、やはりそれなりの存在感を持って自らの欲望を追う人物として要所要所に現れる。「潔さ」が心に残る小説。2013/06/14
なゆ
32
長年、眺めていたお山に、こんなに凛々しく勇ましく慈愛に満ちた姫様がおわしたとは…！摩利支天という武の女神が降臨してきたかのような、立花誾千代。夫である統虎（宗茂）と共に仲睦まじく、時に同志のように、めまぐるしく変化する戦国の世を生きる。〝女子は生きにくい〟と思いながらも強くしなやかだった誾千代が、ただひとつ耐えられなかったこと…。立花家が続くことだけを思い、自分のことよりも誰かの為に。不仲説・わがまま説の話も多いようですが、ここでの誾千代こそが私のなかでの誾千代姫です！2013/04/21
Ryuji
22
★★★★★立花宗茂の正室・誾千代が主人公。立花宗茂を主人公とした小説は多々ありますが、本によって宗茂・誾千代の夫婦仲について一体どちらが本当なのだろう？というくらい真っ二つ分かれた書かれ方をします。この本ではかなり仲の良い夫婦として描かれています。読む前は誾千代が勇ましく書かれているのかなと思いつつ読み始めましたが、意外に女性らしく描かれていました。ちょっと綺麗すぎる小説かなと言う感もしますが、この本を原作として「大河ドラマ」にしたらとても面白そうです。2013/08/20
としえ
18
山本兼一作品、初読み。立花宗茂の正室・誾千代の話。以前、宗茂側の話は読んだことあったので、誾千代の話も読んでみようと手に取った。文章も難しくなく、読みやすかった。九州の地理がいまいちわからないなと思っていたら、ちゃんと目次の後に地図があったのでイメージしやすかった。所々で侍女の語りも混ざっているのもあって、綺麗に書かれすぎている気もするが、父の『世のため万人のために生きよ』という教えに従う生き方は立派。夫婦仲が良く書かれているのも良かった。2013/09/22
あかんべ
16
立花夫婦を扱った他作品を読み比べると面白い作品。無骨な職人や武士が主人公が面白かった山本作品。女性主人公で女心の書きっぷりはどうかと気になったが、なかなか良かった。それに合戦中どう動いたかということに話の中心に置いても、凱旋後の動きってあまり書かれない。自然な形で書かれぐっとくる。2012/12/21
