出版社内容情報
息をもつかせぬ展開、そして、怒濤のクライマックス。新進気鋭の歴史作家が、「文禄・慶長の役」を真正面から描いた渾身の長編小説。
【著者紹介】
作家
内容説明
日本と朝鮮―。戦う男たちの間に何があったのか。息をもつかせぬ展開、そして怒涛のクライマックス。
著者等紹介
伊東潤[イトウジュン]
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。外資系企業に長らく勤務後、文筆業に転じ、歴史小説や歴史に材を取った作品を相次いで発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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B-Beat
36
◎この作家さん初読み。面白かった。加藤清正や彼の家来を主人公にして7年に及んだ文禄・慶長の役を史実に沿って再現した作品だったか。私事ながら我が戦国モノの原点は司馬作品の「関ヶ原」。「関ヶ原」は秀吉死去後、朝鮮半島から武将らが撤退してくる場面から物語が始まる。それゆえ秀吉の天下統一のエネルギーがそのまま朝鮮半島に持ち込まれていた史実の認識不足に今さらながら気がついた。清正と三成の対立にしても同じ。ドラマ「関ヶ原」での三成役の加藤剛さんがミスキャストのように思えてきて、清正を見直したくなるそんな読後感。2014/05/25
藤枝梅安
35
秀吉の「朝鮮出兵」により運命を変えられてしまった人々の苦難を描いた作品。加藤清正の鉄砲隊の頭が朝鮮軍に捕えられ、そのまま朝鮮に留まり、後に「沙也可」と呼ばれ、さらに「金忠善」と呼ばれた人物が主人公。対照的に朝鮮人勘定方で清正軍に捕えられ、通詞として従軍した「良甫鑑」をもう一方の主人公として、二人の悲壮な決意を通し、無意味な戦の愚かさと、人の誇りの強さと哀しさを表現している。秀吉の命に忠実であろうとする清正、明の意向を無視できない朝鮮軍首脳、板挟みの苦しみをも描いている。現代の日韓の溝の元凶は秀吉だったか。2013/10/06
kawa
31
秀吉の朝鮮侵攻の詳細が良くわかる。第2次大戦時、ドイツのソ連侵攻を連想させるような展開だ。戦いの当事者には厭戦気分もあり、現場からの報告もいいかげんなところもある。秀吉も明の皇帝も、ある意味「裸の王様」状態で興味深い。独裁者にありがちな現象なのだろう。2018/01/08
キムチ
30
異聞とあるからにはどこまでか史実かは不明ながら人間ドラマとして骨のある展開だった。降和、附逆・・生き方は同じでありつつも生が交錯し入れ替わる悲劇。種々の対策の結果、終始勝利を続けた日本軍、だがそれは空虚に過ぎぬ秀吉の妄執の一面であった。遡る事4世紀余り前、かように歴史を弄んだ秀吉という男の一面を又見てしまった。人北去 雁南飛 金宦と沙也可の生が交錯する上に清正の武将の骨頂が見えてくる。反面、行長が悪役的存在となっている。ラスト、外国人の殉死は珍しい事を理解しつつ、清正を守護して眠る金宦。史実の重みを賜った2014/10/08
紫陽花
17
朝鮮の役がテーマ。 日本ではなかなか朝鮮の役をテーマにして本はないなかで、よく当時のことを調べて書いていると思いました。 2018/03/01