内容説明
人を動かす力とは何か。なぜ人は苦難をものともせず、偉大な指導者に付き従うのか。豊臣秀吉、乃木希典、モルトケ、渋沢栄一、松下幸之助など、歴史に名を残す偉人たちは、何を考え、どのように行動していたのか。彼らの生涯を振り返り、リーダーに必要な情報力、統率力、知力について、どう磨けばよいのかを説き明かす。
目次
第1章 指導者に必要とされる「情報力」
第2章 「根回し」の効果的戦略
第3章 秀吉に見る英雄的素質
第4章 乃木希典の「統率力の源泉」
第5章 後継者育成の方法
第6章 ドイツ参謀本部の組織論
第7章 明治維新群像のリーダー論
第8章 大久保利通の「巌の精神」
第9章 渋沢栄一の私心なき器量
第10章 松下幸之助の「鷲の知力」
著者等紹介
渡部昇一[ワタナベショウイチ]
1930年、山形県生まれ。1955年、上智大学大学院修士課程修了。ドイツ、イギリスに留学後、母校で教鞭をとるかたわら、アメリカ各地でも講義。上智大学教授を経て、上智大学名誉教授。Dr.Phil.(1958)、Dr.Phil.h.c.(1994)。専門の英語学だけでなく、歴史、哲学、人生論など執筆ジャンルは幅広い。1976年、第24回日本エッセイストクラブ賞、1985年、第1回正論大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いっしー
20
歴史上の人物から考えるリーダー論。参謀本部のトップの構成条件として、未来図を描けるマネージメントのある人が望ましいが、それには文学に長けている人が望ましいという。明治維新の山県有朋、乃木希典、そして伊藤博文などは、青年時代に文学部の教育を受けたという。最近の国などによる文系学部への風当たりを考えると、この部分は興味深い箇所だった。2016/04/29
裕由
2
乃木、渋沢、秀吉、モルトケなど歴史人物をあげながら、その行動原理などからリーダーの質を書いているので分かりやすいのだが、今度は裏付けや根拠に乏しい感覚的な言い切りなためか、少し薄っぺらい印章を持つ。2019/05/16
Maxshingo8
2
戦国時代や世界大戦、幕末、戦後の様々なリーダーから人の動かし方を学ぶ。勉強になったのは「諦めの哲学」の部分。2代目に権限委譲をする際のリーダーの態度だった。2代目が陥りやすい状態として「プルーブワンセルフ(自分を証明する)」があり、次世代に紡いでいく難しさも書かれていた。個人的には戦時中や幕末のリーダーに偏りが大きく、もう少し幅広くピックアップしてほしいと感じた2018/05/26
KK
2
「人を動かす力」そのものには直接的な言及はないが、歴史上の偉人が偉人たるゆえんはひしひしと伝わってくる作品。2017/04/02
ろい
2
指導者の分析から、組織や指導者に求められるスキルを描いた本。 作者の経歴から、「指導者は漢文を読め」という結論が随所に見られるのはご愛敬。 切り口も説教くさくなく面白いが、歴史を知らない人間からすると偉人の解説を「知っているもの」として進めず、もう少しかみ砕いて解説してもらいたかったというのが実感。 ボリュームも少ないので読んでおいて損はない一冊 2011/10/26