内容説明
モーさんの店は小さなショットバーで、繁華街から少し外れた雑居ビルの2階にある。バーテンダーという職業柄、常連客の身の上話の相手になることが多いモーさん。いつしかなしくずし的に「人生相談業」を始めるはめになったのだが、そのアドバイスがおかしな波紋を巻き起こしていくことに…。持ち込まれた相談の数々に、バーのマスターが出す答えとは?ちょっぴり苦い読後感が後を引く、連作ユーモア・ミステリー。
著者等紹介
蒼井上鷹[アオイウエタカ]
1968年、千葉県生まれ。大学卒業後、会社勤務を経て執筆活動開始。2004年、短編「キリング・タイム」で第26回小説推理新人賞を受賞。2005年、初の短編集となる『九杯目には早すぎる』を刊行。卓抜な着想と独特のユーモアが持ち味で、2005、2008年には日本推理作家協会賞・短編部門の候補に挙げられる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりあ
32
なんだかとてもリアルでした。人の言葉の真意はなかなかストレートに伝わらないこともあるし、相談の回答がいつも正しいとは限らない。相談受ける方だって、一生懸命考えて答えた上で、逆恨みされたら大変。 レニのマスターも出てきました。猫が可哀想な目にあうのはちょっといやですね(4ページミステリーのときもありましたが)。2014/11/18
まど
32
小さなバーのマスターが、常連客の身の上話にのるうちに人生相談を始める連作短編集。人生相談のミステリーってどんなのだろうと興味深々で手にとりました。どの人生相談も裏目に出て、思いもよらない方向に転がって広がっていく様子にひきこまれて一気読み。面白かったです。2011/03/25
したっぱ店員
26
タイトルに負けてなんだかつい手に取ってしまう蒼井作品。「人生相談を受けてしまうバーのマスター」と聞き、北森さんの香菜里屋を思い浮かべると全然違います。相談がびしっと決まらなくてひっくりかえされ、意外に大ごとになったり、一筋縄ではいかない展開が楽しい。ちょっと強引なとこもあるけど、きっとまたこの作者は読んじゃうなあ。2011/03/16
烟々羅
17
蒼井上さんらしい、軽妙でありながら連鎖する伏線を存分に楽しめる連作短篇集。しばらく器用さを買われたのか、妙な企画に振り回されて持ち味を活かしきれない、いや。持ち味が職人芸に過ぎて、与えられた企画が稚拙で浮いてしまう著作を出されていたようだ(二冊まで確認した)が、ほっとした。これでまたアオイウエ氏の本を見るたびに買える2012/01/18
たこやき
16
バーのマスターが、常連客の相談を受けて、アドバイスを……。ここまでは普通。しかし、それが文字通りに予想外の事件やら、裏目やら。これだけでも、十分にブラックで、ひねくれていて……なのに、ラストエピソードで、全てが繋がって、ひっくり返しがあって……とまとめられる。非常に読みやすい展開と、そして、著者らしいブラックなカラー。著者の良いところが、巧く描き出された一作だな、と言う風に思う。2011/03/20