内容説明
世界的な「経済大国」のはずの日本がいまや、格差社会、貧困率の上昇、高い自殺率、少子高齢化など、若者が将来に不安を感じる問題で溢れている。一体、解決策はどこにあるのか?実はそのヒントが、「国民の幸福度ランキング」で世界第一位を獲得した北欧の「福祉先進国」デンマークにあった。本書では、「一四歳の自分探し」「高卒は国家試験を受かったエリート」「職業別専門学校で実力を磨く」などの事例を紹介。学歴ではなく、子供たちに実社会で生きる技術と誇りを身につけさせる国民教育を問う。
目次
第1章 格差がない理由
第2章 実力社会と学歴社会
第3章 デンマークの教育制度
第4章 社会が求める人物像
第5章 意思表示と自己決定の学び方
第6章 親が家庭でするべき教育
著者等紹介
千葉忠夫[チバタダオ]
1941年東京都生まれ。67年に福祉国家の実態の勉強を志して渡欧。デンマークで社会福祉の実践を学び、現地で社会福祉現場活動に従事。70年代に生涯の師バンクミケルセン(ノーマリゼーション実践提唱者)と出会う。91年N.E.バンクミケルセン記念財団を設立。97年には日欧文化交流学院を設立し、日欧文化交流のためのさまざまな活動を行う。現在、デンマークのボーゲンセ市在住。日欧文化交流学院学院長、N.E.バンクミケルセン記念財団理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中島直人
14
当然、いい話ばかりではないはず。極右の台頭が伝えられているし、その教育を良しとしない人もいるはず。ただ、AIやアウトソーシングが一般化してきている昨今、10年後に社会人になる子供達に必要な教育は、間違いなくデンマーク型。将来、子供達に苦労させるのは避けさせてあげたい。2018/10/14
羽
14
☆☆ デンマークでは正規の仕事に就くために資格を取らなければならず、銀行員も店員も農家も資格がないとなれない。10年生の時(14歳頃)に将来どんな職に就くか決め、その後高等学校へ進むか職業別専門学校へ進むか、学力的・精神的な面で成長したほうがよいと判断されればもう一度10年生をする。学校の入学金や授業料は無料。社会に出ると実力がなければ即解雇されるし、実力に見合った生活を望むので転職も多い。累進課税制度があるから社会福祉も充実している。裕福な人が貧しい人を救うのは当たり前という考え方が社会に浸透している。2015/10/10
リキヨシオ
14
「弱者を助ける」と「実力をつける」の2点を教育するデンマーク。9年の義務教育を経て、なりたい職業に合わせて高校や専門学校に進学する。全員ではなくあくまで将来なりたい職業のために進学である。消費税は25%と高いものの、社会的弱者に還元される仕組みが出来上がっている。社会では解雇も多く仕事ができなければすぐにクビになる。転職を前提とした社会構造で、職業ごとにある失業保険に無料で受けれる職業教育…何重にも張り巡らせたセーフティーネットが機能している。大卒、高卒など学歴重視の日本に比べて格差が少ないのも特徴。2014/11/05
JUN
13
すべてが優れているとは思えないが、参考になる事柄は多くあると感じた。デンマークにおける高校進学率は約50%で、学習塾や予備校はないらしい。多様性、少数派意見尊重、自律性などを重んじているんだろう。2022/07/06
人間万事塞翁が馬
12
iDeCoかNISAかどちらかを初めてみようかと考え、証券会社に働いている知り合いに相談したら、「そもそも目的が全く違うものだから『どちらかを』という考え方が間違っている」とのこと。そっか、何のためにするのかが大事ということね。 「格差と貧困のないデンマーク」、デンマークの教育や福祉制度を事例に国のあり方について語られています。様々な面で国の支援があり、人を育てる、弱者を支えるというところは素敵ですね。でも消費税25%、所得税40~60%は日本人にはなかなか受け入れられないでしょうね。2023/07/09