内容説明
もはや戦を防ぐ手立てはない―。蝦夷の雄・鮮麻呂に決起の秋が。陸奥の黄金を求め、牙を剥く朝廷に対し、蝦夷の首長・伊治鮮麻呂が起ち上がる。狙うは陸奥守の首ひとつ。北辺の部族の誇りを懸けた闘いを描くシリーズ、『火怨』へと連なる著者渾身の大河歴史ロマン。蝦夷たちの慟哭が胸に迫る歴史巨編、完結。
著者等紹介
高橋克彦[タカハシカツヒコ]
昭和22年(1947)、岩手県生まれ。早稲田大学卒。昭和58年、『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞を受賞し、文壇デビュー。昭和61年に『総門谷』で吉川英治文学新人賞、昭和62年に『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、平成4年に『緋い記憶』で直木賞、平成12年に『火怨』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nak34
21
最終巻は、鮮麻呂。アテルイも、母礼も、飛良手も。長い、長い、戦いの始まり。己の威信を賭けて、蝦夷の誇りを胸に、その戦いは始まる。無邪気な子供たちが、自由に駆け巡る大地とする為に。そして、彼は、風になった。2012/12/21
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
17
東北四部作ここに完結。ついつい、『火怨』を引っ張り出して最初のシーンをアテルイの側からもう一度読んでしまいました。これを読んでからもう一度全てを通して読み直すと、もう一度感動できそうですが、しばらく時間をおいてから読み直そうと思います。2010/09/20
しんちゃん
7
「風の陣」シリーズはここで完結するが、これは前九年の役・後三年の役を描いた「火怨」の序章でしかない。そして「炎立つ」「天を衝く」と、蝦夷の誇りを懸けた壮絶な闘いはさらに続く。中央からの蔑視と搾取へ反抗する男たち。彼らの思いと行動に、胸を熱くし、悲しさや絶望感、あるいは明日への希望に泣けること間違いなし。これら作品も共におすすめしたい。2010/10/07
コリディ
5
8点。伊治呰麻呂(これはるのあざまろ)の乱、5/5、完結。紀広純と道嶋大楯の横暴に鮮麻呂がついに起ち上がる。遅きに失するが、阿弖流為「火怨」につながっていく。やっとタイトルの「風の陣」が意味を成す。伊治呰麻呂の生死が不明という史実に対しての見事な解釈となっている。でもさすがに、よぼど高橋克彦さんのファンでない限り、前4冊は不要だよなあ。 2022/02/21
TheWho
5
「火怒」の冒頭になる紀広純、道嶋大盾の忙殺がメインとなる。これまで嶋足の苦悩が鮮麻呂が引継ぎ完結する物語であった。文中に鮮麻呂が語った「百年後、あるいは千年後にそなたらの誠に感ずる者らが必ず出てこよう。」の一文は、その後の阿弖流為、奥州藤原氏、九戸政実にも通じるが、一番感じていたのは、著者自身ではないかとも思えた。これで読んだ順番では、歴史的に逆行するが、蝦夷四部作は完結しました。2012/11/10